情報記事

【矢板市】自然環境に恵まれた米どころ。都心へのアクセスがよく子育て支援も充実!

矢板市は、栃木県北東部に位置し、塩谷地区の中心的な都市です。高原山の麓にあり、森林や里山に囲まれ自然豊かな環境に恵まれています。東京圏まで約100km、県都宇都宮まで約30kmの距離にあり、国道4号、東北自動車道、JR宇都宮線(東北本線)が通っているため、交通の利便性が高い都市でもあります。自然環境を生かした農業が盛んで、就農に適した地域でもあります。



矢板市の概要

やしおつつじと高原山(たかはらやま)

矢板市は、栃木県の北東部に位置し、近隣には、さくら市、塩谷町、高根沢町で構成されています。

 

高原山麓に広がり、箒川、宮川、内川などの河川が流れる、自然のつくる美しい風景に恵まれた場所で、春から夏には剣ケ峰・ミツモチ山の新緑が美しく、群生するレンゲツツジを眺めながら登山やハイキングを楽しむ人が訪れます。秋には素晴らしい紅葉や、山麓に広がる黄金色の稲穂、りんごが実る風景が見ごろになり、冬にはスノーシュー(雪上歩行器)を着けてのハイキングや雪遊びに興じる人たちもいます。四季を通じて自然の魅力にあふれています。

 

市内にはJRの矢板駅、片岡駅があり、宇都宮駅経由で新幹線を使えば東京まで約1時間半。自然が多い場所ながら、スーパーなどのショッピング施設や病院などがそろっていて生活しやすい場所です。


大間々台(八方ヶ原)のつつじ

矢板市北部にある八方ヶ原は日光国立公園の一部にあたり、標高1,000~1,200メートルの高さにあります。かつて、八方ヶ原には軍馬牧場があり、草木は軍馬の飼料として利用されていましたが、レンゲツツジは毒性があるため軍馬や他の野生動物にも食べられず、また、伐採されることもなかったことから、現在では約20万株が群生する景観が生まれたといわれています。


おしらじの滝

八方ヶ原の北にある「おしらじの滝」は幻の滝と呼ばれています。「しらじ」とはつぼのことで、澄んだブルーの滝つぼと木々の緑が織りなす風景は、その美しさから人気スポットになっています。ただし、この滝の姿が見られるのは雨のあとなど、限られた自然条件が重なったときのみ。訪れても必ず見られるわけではないことから「幻の滝」といわれているのです。


八方ヶ原ヒルクライムレース

矢板市北部から那須塩原市南部にかけて広がる八方ヶ原では、サイクリストが 健脚を競う、八方ヶ原ヒルクライムレースが開催されます。

市内には、文化・スポーツを軸にした交流・健康づくりの拠点として「矢板市文化スポーツ複合施設」が設けられていて、各種スポーツや文化的イベントが開催されています。


子育て支援の充実

矢板市は令和5年に「こどもまんなか応援サポーター」を宣言し、妊娠期から子育て期にわたり、切れ目のない支援を行っています。妊娠中の健康・栄養相談、産後ケア事業、ことばの相談・個別発達指導まで、安心して、出産、子育てができる環境です。

矢板中央高等学校は、サッカー強豪校として有名で、中には親元を離れて進学してくる生徒もいます。矢板市では、市内に住民票を移した生徒に「学生寮等矢板市在住学生支援事業」による学業や生活に役立つ物品の支援も行っています。


矢板市の農業

米の収穫風景

矢板市の農業は稲作が中心。農家約700軒のうち、619軒が水稲農家です(出典:2020年農林業センサス)。その他、麦、大豆、いちご、トマト、りんご等が栽培されています。単一作物を中心に生産している農家もありますが、複数の作物を組み合わせて栽培する複合経営も見られます。


矢板市は県内一のりんご産地

矢板市では、標高の低い地域でりんごを栽培しており、降雪や寒波による冷害を受けにくい環境にあります。また、りんご生産者は完熟果実の収穫にこだわり、甘みが強く品質の高いりんごが生産されています。生産量は県内1位で、JAしおのや果樹部会加盟の14軒のりんご園ではりんご狩りが楽しめます。


黒毛和牛。矢板市では畜産農家も盛ん

穀物、野菜、果樹だけでなく、矢板市では牛、豚、鶏の畜産農家が30軒以上経営しています。特に黒毛和牛は「やいたブランド」として認定されています。


さつまいもの産地化を目指す!

さつまいもの新規産地を目指す矢板市では、さつまいもの作付けにチャレンジする方に各種補助を実施しています。「儲かる農業」「稼げる農業」を推進し、稲作からさつまいもへの転換を促すことが目的です。条件を満たせば、新規就農者も補助の対象となります。


生産資材・農業機械購入補助(矢板市さつまいも産地化補助金)

補助内容

さつまいもの作付けに必要な費用で、消費税、運搬費、人件費等は除きます。補助は1回限りで、汎用性の高いものは補助対象外です。


(1)農業機械購入補助:費用の半額を補助、上限額100万円
 《例》移植機、いも掘り機、つる刈り機など
(2)生産資材補助:10a当たり3万円を上限
 《例》苗、肥料、消毒剤、農薬、マルチシートなど


とちぎ農業未来塾、JAしおのや「新規就農者育成研修事業」を経て矢板市で就農

親元就農が多い矢板市ですが、就農後に知識の向上のため、新たな品目の導入に向けて、就農準備校「とちぎ農業未来塾や、JAしおのやの新規就農者育成研修事業を利用したのち、矢板市で就農した方もいます。

 

新規就農者育成研修事業」の研修作目は、いちご、アスパラガス、なすをはじめ、幅広い品目が対象となっています。就農に向けて作物を決めかねている人でも、研修を通して実際に様々な品目の農作業を体験しながら決めていける「間口の広さ」が特徴です。


また、研修期間中は毎月10万円程度の手当が支給され、給付を受けながら農業の基礎を学ぶことができます。
(※研修中に毎月もらえる10万円の手当は、国の就農準備資金と合わせて受け取ることはできません)
もちろん、研修終了後の経営開始に向けた資金活用についても相談可能です。

 

[研修期間]
4月1日~翌年3月31日 ※期間延長あり
[募集期間]
研修開始前年の9月1日~
[応募資格]
次の全てを満たす満年齢が18歳以上、原則45歳未満の方
(1)心身ともに健康であること
(2)農業に対する固い意志と意欲がある農業後継者や新規就農希望者
(3)研修後もJAしおのや管内で居住し、一定期間(10年)就農できる方
[選考審査]
書類選考・面接審査


新規就農者への各種支援

新たに農業経営を営もうとする青年等で、農業経営の目標などを記した「青年等就農計画」の認定を受けた「認定新規就農者」は、要件を満たせば経営開始資金の交付、経営発展支援事業、青年等就農資金(無利子融資)などが受けられます。


経営開始資金

次世代を担う農業者となることを志向する者に対し、独立・自営就農直後の経営確立を支援する資金を交付します。
月12.5万円(年間最大150万円)×最長3年間

 

経営発展支援事業

就農後の経営発展のために都道府県が機械・施設等の導入を支援する場合、都道府県支援分の2倍を国が支援します。


矢板市で農業を始めるなら、栃木県農業振興公社のワンストップ窓口へ


先輩農家インタビュー 株式会社季慶 関谷慶一郎さん


令和3年に株式会社季慶(ききょう)を設立し、水稲とパッションフルーツを栽培している関谷慶一郎さん。
就農時は水稲21ha、パッションフルーツ10aからのスタートでしたが、現在は水稲37haにまで拡大。安定した生産体制を築きながら、地域に根ざした経営を続けています。


農業大学校と1年の海外研修を経て農家に


高校卒業後、栃木県農業大学校に進学。そのあと、1年間農業研修でハワイに行っていたという関谷さん。


高校時代は、スポーツの管理栄養士になりたかったんです。でも、父と進路について話しているときに、農業大学校からでも管理栄養士の学校への編入もできるよと勧められて進学しました。祖父が農家だったので、その影響もあって、気がつけば農業の道に進んでいましたね。
農業大学校では、露地野菜を中心に基本的な栽培技術を総合的に学びました。稲作の授業もありましたが、当時は野菜に関心を持っていました。


海外研修制度を活用してハワイ島のきゅうり農家で研修

農業大学校では、海外研修を受けてきた先輩の話を聞く機会がありました。自分も行ってみたいと思うようになり、JAEC(公益社団法人国際農業者交流協会)の制度を利用し、ハワイ島で2カ月間英語を学び、その後きゅうり農家のもとで研修を受けました。


アメリカのどこの州に行くのか、どの農家で研修を受けるのかはランダムに決められました。
ハワイ島は火山地帯なので、土の代わりに「スラブ」というココナツの皮を砕いたものを使います。その他は、日本のきゅうり栽培と同じでした。
栽培全般に携わり、作業グループを任されて指示なども行っていました。野菜栽培の長所・短所の両方を学べていい経験になりました。


祖父母の農地を受け継ぎ、水稲農家として独立

刈り取った稲はコンバインで脱穀

ハワイから帰国し、2年ほどは祖父母のもとで働き、その後独立し、祖父母がやってきたほ場を引き継ぐことになりました。


海外研修から帰国後、通信制大学で経済・商業を学びました。祖父の経営を引き継いだときには、会計や経営の仕組みを理解していたことが役立ちました。


野菜の研修を続けてきたにも関わらず、水稲とパッションフルーツを選んだのは、祖父母からの勧めと実際にやってみて水稲のほうが自分のライフスタイルに合っていると感じたから。


水稲は、忙しい時期が限られており、年間の計画が立てやすいことが決め手でした。
パッションフルーツは、祖父母が野菜栽培に使っていたハウスを活用できることに加えて、育てやすいと聞いたこと、知り合いに経験者がいたことから栽培を始めました。


経営の安定化と雇用の充実をめざし、法人化を決意


現在、関谷さんのいとこが正社員として働いています。会社組織にするときには、矢板市から矢板市正規雇用促進支援金を案内してもらいました。


人を雇うなら、社会保険や福利厚生もきちんとしたいと思って法人化することにしました。
親元就農で法人化する場合、個人資産と法人資産の区分が難しく、初期は特に整理が大変でした。名義変更や資産管理に手間がかかるので、親族の経営を引き継いで法人化する人は注意が必要ですね。


矢板市の農林課の担当者からは、いろいろとサポートや提案をしてもらいました。相談しやすい雰囲気ですし、不明点があれば農業公社などでも相談できます。地域全体に親しみやすい雰囲気がありますよ。


矢板市での農業には可能性がある!売上2億円を目指して

コンバイン1台は就農時に購入

現在、季慶の売上は年間5,400万円ほど。今後はほ場を100haまで拡大し、売上2億円が目標だといいます。


高齢化で離農する方も増えてきているので、耕作されない農地が増えてきています。
目に入る範囲で80ha、その他の場所も含めて100haまで農地を拡大して、売上は2億円が目標です。

水稲は1年に1度しか収穫できないので、僕はまだ7回しか収穫していません。ベテラン農家は何十回も同じことを繰り返してきているので、この地域の特性に合った栽培方法などを今のうちに学ばせてもらいたいと思っています。


矢板市は水資源が豊富で、水稲に適した土地です。あまり知られていませんが米どころなんですよ。
今後は担い手の確保が課題ですが、見方を変えれば農地を広げられる可能性もあるということです。
水稲農家がもっと増えれば、「矢板ブランド」の水稲を売り出していくこともできるんじゃないかと思っています。


さいごに

関谷さんは「矢板の人はおおらか」と語ります。地域の人々が助け合い、野菜を分け合うような温かい交流が今も残っているといいます。
就農の際には、市の担当者が親身になって相談に乗ってくれたことも心強かったそうです。
矢板市での就農については、まずは相談窓口へ問い合わせてみてください。


INFORMATION

株式会社季慶(ききょう)

令和3年設立。37haの水稲と10aのパッションフルーツを栽培。米の品種は「コシヒカリ」「とちぎの星」「あさひの夢」を中心に、佐野市や和歌山市の米店への卸売のほか、オンライン販売も行う。
パッションフルーツは「イエロー」「ルビースター」「サニーシャイン」の3品種を栽培。

関谷慶一郎(せきや・けいいちろう)さん
矢板市出身。栃木県農業大学校卒業後、ハワイ島で農業研修を経験。帰国後に祖父母のもとで2年間働き独立、法人化。水と土の恵みを生かし、地域の次世代を担う若手農家として活躍中。
https://lit.link/kei72agriworld1kikyo


矢板市で農業を始めるなら、栃木県農業振興公社のワンストップ窓口へ


農地情報

インターネット上で、どなたでも無料で農地情報を見ることができます。詳しくは(公財)矢板市農業公社、農林課、農業委員会に相談してください。


空き家情報

空き家は市のホームページで提供(公開)しています。定住などで空き家等をお探しの方や、空き家等を利活用されたい方は、都市整備課までご相談ください。農地付きの物件もあります。


相談窓口

【矢板市農林課】
〒329-2192 栃木県矢板市本町5番4号
代表Tel:0287-43-6210 Fax:0287-44-3324

【矢板市都市整備課】
〒329-2192 栃木県矢板市本町5番4号
代表Tel:0287-43-6213 Fax:0287-43-9790


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