茂木町の概要
茂木町は栃木県の南東部に位置し、東西12km、南北27kmの細長い地形で、中山間地域に位置づけられており、いちご、にらなど施設園芸が盛んであるほか、棚田やそばのオーナー制度による農業体験も行われています。北部には清流「那珂川」が流れ、昔懐かしい里山の原風景が残る、人情味あふれた町です。
モータースポーツのほかグンランピングやアスレチックなど、様々なアクティビティを楽しめる「モビリティリゾートもてぎ」は家族で楽しめるテーマパークとして知られています。
道の駅もてぎは、道の駅全国モデルに選定されており、野菜直売場、フードコーナー、イベント広場などを備え、防災や6次産業化の拠点として活躍しています。
また、明治~大正時代に活躍した日本画家・古田土雅堂の旧邸宅や、真岡鐵道を走るSLの雄姿を間近で見ることができるなど、地域内外の人で賑わい、町の情報発信の拠点となっています。
茨城県との県境にそびえる標高約423mの焼森山は、鶏足山に連なる山です。普段からハイキング客に親しまれていますが、3月にはミツマタの花が咲き誇り、シーズン中はシャトルバスが運行され多くの人が訪れます。ミツマタの季節は、幻想的な風景から「妖精の森」とも呼ばれています。
ミツマタは和紙の原料に用いられる植物で、焼森山のミツマタは紙不足だった戦時中に地元の人たちの手で植えられたといわれています。戦後の復興で一時は忘れられていましたが、茂木中学校建設に伴う間伐作業中に再発見されました。
那珂川は「漁獲量全国第1位」「天然遡上全国第2位」の鮎の名産地。那珂川には「やな場」が数か所あり、その中で最大規模なのが「大瀬やな」です。
「やな(簗・梁)漁」は、産卵のために下流に下る鮎の性質を利用した、日本の伝統的な漁法です。竹などで作ったすのこ状の「やな」という仕掛けを上流に向けて設置し、下ってきた鮎がかかるのを待ちます。
大瀬やなでは、7月から10月にかけてやな漁体験が楽しめます。また、とれたての鮎を炭火でじっくり焼いた炉端焼きも人気です。
2024年の昭和の日に1号館、2025年の昭和の日に2号館がオープンした「もてぎ昭和館」。町おこし協力隊のメンバーが中心になり、昭和時代の生活用品やおもちゃなどのグッズを集めた施設です。
茂木町はかつて日本専売公社(現・日本たばこ産業株式会社)の事業所があり、たばこ栽培で栄えた町。その歴史を伝えながら、レトログッズに触れてもらう場所として親しまれています。
町北部の河井地区に伝わる伝統芸能「河井のささら」は、地元の子どもたちが舞う獅子舞です。この地は後三年の役で源義家が奥州に向かう途中に立ち寄ったといわれ、都から伴ってきた長寿姫をこの地に残すにあたり、別れの宴で神楽を舞わせ、姫との別れを惜しみました。姫が病で逝去したのち、村人たちが姫を弔い、中秋の名月にささらを舞ったのが、河井のささらの始まりと伝えられています。現在は、県の民俗文化財に指定され、毎年敬老の日に、小学生を中心とした13人の子どもたちが、勇壮な舞を披露しています。
町独自の子育て支援が充実
茂木町は、町独自の子育て支援を行っています。
【乳児等通園支援事業】
茂木町に住む6カ月~3歳未満の子どもが対象。1時間単位で子供を預けられます(現在保育園等に通っていない子どもが対象)。
実施場所は町内の保育園、認定こども園。利用料は1時間300円~。
【もてぎの森林(もり)からのおくりもの】
茂木町の間伐材を使用した積み木やいすをプレゼント。
【公営塾(茂木中学校・茂木高等学校)】
町が開設している学習塾を無料で利用できます。授業の学習内容の定着や、自立的な学習習慣の確立を目指し、講師がサポートします。
そのほか、出産祝金や児童手当、医療費補助などさまざまサポートが受けられます。
茂木町の農業
栃木県の南東部、八溝山系の中山間農業地帯に位置する茂木町は、総面積172.69平方キロメートルのうち農用地約11%、山林が約64%を占めています。起伏の多い立地条件を生かして、古くから棚田米やこんにゃく、しいたけ、酪農経営などが展開されてきました。
近年は、経営の発展を図るために、なす等の露地野菜のほか、いちご、にら、アスパラガス等の施設園芸作物の導入が進んでいます。
茂木町入郷地区の棚田は、「日本の棚田百選」にも認定されています。地元農家が集まり、棚田の再生と保全を目的に「入郷棚田保全協議会」を結成。現在も毎年50~60組のオーナーと地元農家で保全活動が行われています。
また、茂木町はゆずの産地としても知られ、道の駅もてぎでは、ゆず塩ラーメンが人気です。
就農開始5年以内の新規就農者も対象!施設園芸を始める人には上限200万円の補助あり
いちご、にら、アスパラガスなどの施設園芸作物の新規導入や、パイプハウス、付帯設備導入を支援するために、「茂木町施設園芸新規参入支援事業補助金」が設けられています。
補助金の対象となる面積は、100平方メートル以上。交付対象者は、以下の4点すべてに該当する個人または農業生産組織です。
- 認定新規就農者または認定農業者等で、新たに施設園芸に参入する人
- 認定新規就農者は就農開始5年以内、認定農業者は作物転換後5年以内
- 茂木町に住所を有する人
- 町税を完納している人
補助金の額は、事業費の2分の1以内で、最大200万円です。
国または県の補助金を併せて受ける場合は、補助金の総額は事業費の10分の6以内、町が負担する補助金の額は、事業費の10分の2以内、200万円を限度としています。
町が取り組む循環型たい肥づくりで、農家の土づくりを支援
茂木町では、町内の畜産ふん尿や落ち葉、生ごみなどを活用し、「有機物リサイクルセンター美土里館」でたい肥づくりを行っています。「美土里(みどり)たい肥」は、町内の農家に安価で提供され、土づくりや環境保全型農業に役立てられています。
県やJAでの研修のほか、地域おこし協力隊から農業を目指す選択肢も
茂木町での就農を希望する人には、就農準備校「とちぎ農業未来塾」やJAはが野の「新規就農塾」(井頭観光いちご園新規就農塾を除く)の研修を紹介しています。
地域おこし協力隊員を経て就農、農業法人への就職実績あり
茂木町では、地域おこし協力隊として地域の活性化に取り組んだ後、農業の道へ進む人もいます。町内の「美土里農園」は、地域おこし協力隊OBが運営に携わっており、農業の担い手育成にも力を入れています。
美土里農園は、とちぎ農業未来塾の研修受け入れ先として選ばれることもあり、農業の現場を学ぶ機会が用意されています。協力隊として地域活動に関わった経験を生かし、将来的に農業法人へ就職したり、自ら農業を始めたりと、さまざまな形で地域に根ざした活躍をしている人もいます。
茂木町でいちご栽培を始めるなら、栃木県農業振興公社のワンストップ窓口へ
先輩農家インタビュー 小島一樹さん
就農して3年目の小島一樹さん。学校を卒業後、4年間工場に勤めたあと、農家への道を歩み始めました。現在は12aのほ場でとちあいかを育てています。
父がいちご農家だったこともあり、私も同じいちごを選びました。高校卒業後は工場に勤め、4年間勤務しましたが、いずれ父も引退することを考えると、農業を始めるなら早いほうがいいと思い、23歳で退職しました。その後、2年間は父のもとで手伝いをしながら、栽培技術や経営の基礎を学びました。現在は、父のほ場の近くで独立し、個人事業主としていちご栽培に取り組んでいます。
父はとちおとめをメインにとちあいかと、ミルキーベリーという白いいちごを作っていましたが、独立するときには、大玉でパック詰めしやすいとちあいかを栽培することにしました。
近所の方から農地を借り、育苗ハウスとハウス4棟を建設
小島さんが就農するにあたり、父の農園からは独立する形となり、新しく農地を用意する必要がありました。
近所の方に、農地が借りられないか尋ねてみたら、快く貸してもらえることになりました。
育苗ハウスのある場所は耕作放棄地になっていたのですが、いちごの苗を定植する場所は田んぼだったところで、そこにハウスを4棟建てました。
井戸は代々使っていたものがあるので、水にも困らない場所で就農できました。
就農時には補助金を活用
新しくハウスを建てて、設備を整えるのにはどうしても費用がかかります。補助金や融資を受けるにあたっては、町の農林課で手続きなどのサポートを受けました。
補助金を利用して、暖房機や液肥の混入器、タンセラという二酸化炭素発生装置などを購入しました。タンセラは光合成を促進させるための機械です。
また、青年等就農資金(※)の融資も受けています。手続きなどでは、町の農林課の方に大変お世話になりました。
(※)青年等就農資金
新たに農業経営を営もうとする青年等に対し、農業経営を開始するために必要な資金を長期、無利子で貸し付ける制度。
収穫したいちごはJA出荷と直売所での対面販売
小島さんはJAへの出荷のほか、直売所での対面販売を行っています。パック詰め等の手間はかかりますが、対面販売ではお客様の声を直接聞けるうえ、自分で価格を設定できるため、販売単価を高く保てるのも理由の一つだと話します。
収穫期は、朝早くからパートさんが摘んだいちごを回収して、出荷します。ハウスの管理をして、直売所の対応もして・・・と忙しい毎日です。それでも、お客さんから「おいしかった」と声をかけてもらえるのが励みになります。直売は自分で価格を決められるのも、やりがいの一つですね。
いちごハウスは温度管理が重要
小島さんのハウスは、日照条件がいいとは言い切れない場所にあるのだそうです。そのため、ハウス内で光合成を促進するための二酸化炭素発生装置を導入するとともに、暖房機を活用して徹底した温度管理を行っています。
土づくりには、生ごみ、牛ふん、落ち葉、おがこ、もみがらの5種類の原料から作られた「美土里たい肥」を使用しています。有用な微生物が多く含まれており、病害虫の発生を抑える効果が期待できます。品質が高いだけでなく、茂木町が製造に取り組んでいるため、ほかの肥料よりも手頃な価格で入手できる点も魅力です。
ハウスの温度管理はかなりシビアです。冬はハウスを閉めっぱなしにしておくことが多いのですが、まめに確認しないと温度が上がりすぎて苗がやられてしまうことがあります。温度が上がってきたら開けて暖気を逃がすことで調整します。
栽培方法は、肥料をやりすぎないなど、基本的なことだけですが、ハウスの環境には気をつけています。
現在ある面積で栽培管理を徹底し、収益アップを目指す
小島さんは12aのほ場で「とちあいか」を栽培し、消費者と直接向き合う直販スタイルを続けています。お客さんのもとに食べごろのおいしいいちごを届けたいという思いから、完熟してから収穫しています。そのぶん傷みが早く、出荷のタイミングや数量の見極めが難しくなりますが、できるだけロスを減らしながら品質を高め、販売につなげています。
一般的には収益を上げるために面積を広げる方法もありますが、小島さんは今の12aという規模の中で、栽培管理を徹底し、品質を上げる工夫によって安定した収益を目指しています。
現在は、今の規模の中で品質を高めることに力を注いでいますが、将来的には父が経営するいちご園を引き継ぐことも視野に入れています。すぐに規模を広げるのではなく、少しずつ経験を積みながら、長く続けられる農業を形にしていきたいと考えています。
最後に、これから農業を目指したい人へのメッセージを伺いました。
農業は、雨が降ったと思ったら急に晴れたりと、天候に左右されるので、難しいところはあります。
でも、会社員と違って、自分でやった分だけ成果が出る、やりがいのある仕事です。お客さんに直接「おいしかったよ」と言っていただけるのも励みになりますよ。
さいごに
育苗ハウスや消毒中のハウスまできれいに整えられている小島さんのほ場。その丁寧な姿勢からは、「お客様においしいと言ってもらえるのがうれしい」という言葉どおり、お客様のためにより良い品質を追求する思いが伝わってきます。日々の努力を積み重ねながら、いずれ父の畑を引き継ぐその時に向けて、着実に歩みを進めているようでした。
INFORMATION
小島一樹さん
こじま・かずきさん|12aのほ場で、いちごの「とちあいか」を栽培。JA出荷のほか直売所での対面販売。
父の小島秀樹さん(写真右)は「小島いちご園」で30aのほ場を経営。とちおとめ、とちあいか、ミルキーベリーを栽培。
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農地情報
農地に関する相談は、茂木町農業委員会にて受け付けています。農地の売買や賃借、契約等について関係機関と連携して取り組んでいます。
空き家情報
もてぎ暮らしサポートセンターでは、移住や定住を希望する方に向けて、茂木町での暮らしを応援する総合窓口を開設しています。住まい探しのお手伝いや子育て、町での暮らしの情報案内を行っています。
また、空き家バンクで住宅を紹介しています。
相談窓口
【就農関係】
茂木町農林課農政係 0285-63-5634
【農地相談】
茂木町農業委員会 0285-63-5636
【移住・空き家相談】
もてぎ暮らしサポートセンター 0285-64-1310












