コラム

とちぎで注目すべきは「にら」! いちごだけじゃない、安定経営を目指せる実力派作物

栃木の農業といえば、思い浮かぶのはいちごですが、にらも知る人ぞ知る実力派。1年を通して出荷できるため、収入や作業の見通しを立てやすく、計画的な農業を目指したい方に向いています。
「どの品目から始めようか」「自分に合った農業は何だろう」――そんな段階の方にとって、にらは新たな選択肢のひとつになるかもしれません。



INFORMATION

執筆者情報 白神 貴明

しらが・たかあき|中小企業診断士、農業経営アドバイザー。
政府系金融機関にて、農業関連事業者や中小企業の資金繰り支援、事業計画策定、経営改善支援に携わる。独立後は、農業法人や個人農業者を中心に、経営計画づくりや資金計画、収益性改善などを支援。農業を「生産」だけでなく「経営」の視点から捉え、現場の実情に即したアドバイスを行っている。



「農業で安定した収入を得られるのか」「どの品目を選べば長く続けられるのか」。就農を考える人にとって、品目選びは大きな分岐点です。
その中でも、にらは、1年を通して出荷でき、需要も安定していることから、計画的な経営を目指しやすい品目です。また、施設栽培が中心のため、天候の影響を受けにくく、労働時間や収穫時期の計画をしやすい点も特徴です。
栃木県は、全国有数のにら産地として生産体制や支援制度が整っており、新規就農者にとっても挑戦しやすい環境があります。本記事では、栃木県でにら農家になるために必要な初期投資の目安や経営モデル、先輩事例などを通して、「にらで稼ぐ農業」の具体像を紹介します。


とちぎの「にら農家」3つの魅力


栃木県でにら農家を目指す魅力は、大きく3つあります。


生産量全国2位の生産ノウハウ!

1つ目は、全国2位の生産量を誇る産地(農林水産省 令和6年産野菜生産出荷統計)で、十分な生産ノウハウが蓄積されていることです。栃木県は、いちごや米、畜産など多彩な農産物の産地として知られていますが、にらも全国有数の生産規模を持つ品目です。長年にわたり産地として育てられてきたことで、生産現場には栽培技術や経営の進め方に関する多くの経験が蓄積されており、新たに就農する人にとっても、参考にしながら取り組みやすい環境が整っています。


安定した経営がしやすい!

2つ目は、施設栽培を中心とした生産により、計画的で安定した経営を目指しやすいことです。にらは1年を通して栽培できる作物で、天候の影響を受けにくい点が特長です。収穫や出荷の時期を見通しやすく、作業計画を立てやすいため、収入の変動を抑えた経営につなげやすいといえます。


また、栃木県産のにらは、全国有数の産地として高い評価を受けており、安定した販路が確保されている点も魅力です。ブランド力があることで、販売に困りにくく、計画的な出荷につなげやすい環境があります。


さらに、栃木県の主要経営モデルの一例では、にらの利益率は35%、いちごは30%とされており、にらの方がやや高い水準となっています。あくまでもモデル上の目安ではありますが、生産の安定性に加え、収益性の面でもにらの魅力が伺えます。


研修や補助金などの支援が充実!

3つ目は、行政による支援制度が豊富に用意されていることです。

 

栃木県では、にらを園芸主力品目のひとつとして位置づけ、設備整備への支援を行っており、自治体やJAなどが就農希望者に向けて実施する研修も複数あります。地域によっては、ハウスの整備などに対する補助金制度も活用でき、初期投資の負担を軽減できる可能性があります。

こうした支援を活用しながら段階的に経営を進められる点も、栃木県でにら農家を目指す魅力のひとつです。


にら農家の年収|とちぎには1億円プレーヤーも


栃木県の主要営農モデルによると、にらの経営では、一定規模で農業所得が約400万円となるケースが示されています。この例では、40a規模(にらは2年1作のため、実面積は80a)で、売上から資材費や光熱費などの経費を差し引いたうえで、この水準の所得が見込まれています。施設栽培を前提とすることで、生産量や品質を一定水準に保ちやすい点が、こうした経営の実現につながっています。

この水準は、ほかの主要園芸品目と比べても決して低いものではありません。営農モデル上の利益率の一例では、にらは35%とされており、いちご(30%)、と比べても、比較的高い水準となっています。あくまでも指標上の目安ではありますが、堅実に利益を確保しやすい品目のひとつといえるでしょう。


収益を左右する主な要因は、収量、単価、出荷期間のバランスです。にらは1年を通して販売が可能なため、出荷時期を分散しやすく、市場動向を踏まえながら、価格を意識した出荷につなげやすい作物といえます。加えて、作業の効率化や栽培技術の向上、段階的な規模拡大によって、収量の増加ができれば、収益の上積みを目指すことも可能です。
実際に、より大規模な経営を行い、年商数億円規模に成長している法人も県内に存在します。

 

もちろん、就農初年度から営農モデルと同程度の所得を得られるとは限りませんが、研修などを通じて栽培技術を身につけ、経験を重ねていくことで、徐々に経営を安定させていくことができます。
初期投資や資金計画を踏まえながら、無理のない規模でスタートし、自分のペースで技術と経営力を高めていくことが、にら農家として長く続けていくための大切なポイントといえるでしょう。


品目別経営シミュレーションでは、にら経営の例も掲載しています。


にらに必要な初期投資|投資額は大きいが補助制度も豊富


にらは施設栽培が中心となるため、初期段階でどのような設備水準を選ぶかが、その後の経営に大きく影響します。


初期投資は比較的大きめ

にら農家として就農する際には、ハウスの購入費をはじめ、暖房や環境制御設備、種子代、肥料・資材費など、一定の初期投資が必要になります。栃木県新規就農者ガイドブックでは、施設園芸の場合、比較的簡易なハウスであっても800万円程度からの投資が想定されており、設備内容や規模によっては、1,000万円を超えるケースも示されています。


補助制度や支援制度を使えば自己資金は抑えられる

一方で、先ほどご紹介した通り、県や市町では、新規就農者を対象とした設備整備への補助制度が用意されており、条件を満たすことで初期投資の自己負担を抑えられる可能性があります。補助金や、移住・就農に関連した支援制度を組み合わせて活用することで、資金面のハードルを下げながら就農を目指すことも可能です。


長期的な経営を見越した初期投資を

初期投資については、費用を抑えることだけを重視するのではなく、安定した生産を続けるために必要な設備を見極めることが重要です。自己資金に加え、補助金や融資を組み合わせた現実的な資金計画を立てることで、就農後の資金繰りを安定させ、長期的な経営につなげていくことができます。


疑問や質問は、栃木県農業振興公社のワンストップ窓口へ オンラインで相談する

にら農家の年間スケジュール


にらは周年栽培を選択する人が多く、定植、収穫、出荷、管理作業を、年間を通じて行います。作業は継続的に発生しますが、年間を通じて繁忙期と比較的落ち着く時期があり、あらかじめ作業計画を立てることで、無理のない経営を進めることができます。

 


また、収穫や出荷の時期を調整しやすいため、作業時間の見通しを立てやすく、生活リズムを整えやすい点も魅力です。計画的に作業を進めることで、農業と日常生活のワークライフバランスを意識した営農につなげていくことが可能です。


にら農家になるには


栃木県でにら農家を目指すには、情報収集、研修、資金計画、就農というステップを踏むことが一般的です。まずは、にら栽培の特徴や必要な初期投資、収入の目安などを確認し、自分に合った経営のイメージを持つことが大切です。

 

県内では、市町やJAなどが主催する見学会や体験会も行われており、実際の圃場や作業の様子を見ながら、にら栽培の現場に触れることができます。

 

その上で、研修制度を活用し、実際の圃場で栽培技術や作業の流れを学びながら、就農後の生活や経営を具体的に考えていきましょう。
栃木県農業大学校では、土地の特性を生かした実践的な指導を行っています。栽培技術に加え、経営の基礎や就農に向けた準備についても学ぶことができます。また、県内7か所の研修機関において、にらに特化した研修が実施されています。


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にら農家の先輩事例


実際に栃木県でにら農家として活躍している先輩の事例を見ると、就農前には多くの不安を抱えていた人が少なくないことが分かります。農業とは異なる仕事を経験した後、研修制度を活用して就農したケースや、親元就農から独立したケースなど、その背景はさまざまです。


こうした事例に共通しているのは、研修を通じて栽培技術や経営の基礎を学び、地域やJAと連携しながら営農を進めている点です。最初から大きな規模を目指すのではなく、自身の技術や経営状況に合わせて段階的に規模を拡大し、経営基盤を固めていく姿勢が、安定した営農につながっています。


父と祖母の元で親元就農。売上は4年で4倍に!

社会人経験を経て、父と祖母の元で親元就農した谷中さん(鹿沼市)。就農2年目からは毎年にらの栽培面積を50aずつ増やし、着々と収益を上げています。


まとめ

栃木県のにら農業は、全国有数の産地として培われてきたノウハウに加え、研修や補助金などの支援制度が整っており、新規就農者でも安定した経営を目指しやすい環境があります。施設栽培による計画的な生産が可能な点も、長く続けやすい理由のひとつです。品目選びに悩んでいる方にとって、にらは有力な選択肢といえるでしょう。

支援制度を上手に活用しながら、自分に合った農業のかたちを見つけ、第一歩を踏み出してみてください。


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