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吉村 康治 氏
株式会社あぐりーん 代表取締役。国家資格キャリアコンサルタント。大学卒業後、大手人材派遣会社に就職。地方支店の立ち上げなどを担当する中で、地方都市の農家で求人の需要があることを知る。2009年のリーマンショックでいわゆる派遣切りを見て、農業が受け皿になるのではないかと考え、同年に農業分野に特化した人材事業会社を設立。農業求人サイト「農家のおしごとナビ」の企画・運営をはじめ、就農につながる「本気の」農業体験や、農業に関する各種イベントも主催する。また、農業法人の採用戦略立案や会社説明会等の運営サポートも行っている。
https://www.agreen.jp/
雇用就農に向いているのはこんな人!

専門性を追求したいなら就職・転職向き
雇用就農は、野菜や花を育てたり、畜産では動物の世話をしたりと、「育てること」や「世話をすること」に重きを置きたい人に向いています。また、農業法人の職種が多様化しているため、これまで培ってきたIT技術を活かしたい場合や、マネジメント経験、事務経験、海外での経験など、これまでの経験を活かして農業に携わりたいと考えている人にもおすすめです。

農業は体力仕事であり、夏の暑さや冬の寒さを乗り越える必要があります。また、自然や生き物を相手にするため、時間通りに働くことが難しい場合もあるでしょう。チームワークも重要で、共同作業が苦手な人には不向きな一面もあります。コツコツとした作業を繰り返す忍耐力も求められるため、根気強さも必要だと言えます。
これらの点を理解し、受け入れることができるかが、農業に向いているかどうかの一つの判断材料になるかもしれません。
独立のために雇用就農する道も
一方で、独立して農業を始めるということは、すなわち経営者になることを意味します。長期的な視野で自らの事業の明確なビジョンと目標を設定し、それに向かって着実に取り組むことが求められます。理想を描きつつ、利益をしっかり追求できるバランス感覚を持った人が適しています。また、組織が成長した際には、リーダーシップを発揮することも重要です。独立就農を前提とした採用を行っている農業法人等では農業に関する知識や技術だけでなく、経営に関することも働きながら学べることが多いです。

農業法人にも二通りあって、従業員にはできるだけ長くいて会社の幹部に育ってほしいというところと、逆に終身雇用が難しく、数年経ったら独立就農を目指してほしいと考えているところがあります。
ですから、就職先は自分の希望に合ったところを探すこともポイントです。
雇用就農か独立就農か、まだ決まっていないのであれば、農業法人や市町村、JAグループが集まり、農業に関心のある人々と直接相談できる就農相談会に参加してみることで、新たな道が見えてくるかもしれません。
また、農業に興味はあるけれど、雇用就農か独立就農か、どちらが自分に向いているのか、まだわからない…そんなときは、まずは農業体験会に参加してみるのも手です。
判断に迷ったら「就農タイプ診断」も参考にしてみてください。
就農後のキャリアの選択肢は?

農業法人に就職したあとは、組織内で昇進しキャリアを積む道もあれば、技術や経験を活かして独立就農を目指す選択肢も考えられます。
組織の中で重要ポストに
会社法人で重要なポジションに就くということは、中間管理職としての役割を果たすことを意味します。会社の方針を理解し、それを実現するための行動が求められます。自分の責任範囲をしっかり把握し、効果的に動くことが重要です。また、農場長や営業部長は、社長やほかの従業員と協力し、強固な組織を築くために、共通の目標や目的に向かって一緒に進むことが必要です。
会社の成長がなければ、自分の給与が上がることも難しいため、メンバー同士で協力し、円滑なコミュニケーションを取ることが不可欠です。
現場のプロフェッショナルとして活躍する
現場のプロフェッショナルは企業にとって不可欠な存在であり、そのスキルと経験が組織の成長に大きく貢献します。さらに、昇進や昇給を目指すためには、売り上げの向上や組織の拡大について、経営者と共に戦略を考え、取り組んでいくことが求められます。
独立就農を目指す
独立して農業を始める際には、栽培技術に加えて経営の知識も必要です。販路の確保や初期費用の調達方法、農地の借り方など、さまざまな課題に取り組むことが求められます。また、地域との信頼関係も重要な要素です。もし雇用就農から独立を考える場合は、勤務先の経営者に早めに独立の意思を伝えておくことで、協力を得やすくなる可能性があります。

一般企業の転職であれば1~2カ月前に辞意を表明すればよいのですが、独立就農を希望しているなら早い段階で将来的に独立を考えていることを伝え、信頼関係を築いておくといいでしょう。
お互いの認識にズレが生じないよう、意志を明確に伝えておきましょう。また、求人票に「将来的に独立を目指す人」を募集している法人もあるため、そのような企業を選ぶのもひとつの選択肢です。
農業法人への就職・転職についての質問は、ワンストップ相談窓口へ
次回は「農業法人の選び方」を解説!
農業法人で働くことを決めたら、今度はどんな法人を選んだらいいか気になってくることでしょう。次回は実際に就職先・転職先を選ぶ際に確認すべきポイントを解説します。