情報記事

【佐野市】都心に近い!都市型農業の街で地元のベテラン農家から学ぶ本気のいちご・果樹研修

都心からのアクセスも良く、様々な人やモノが行き交う佐野市。そんな「商」のイメージのある佐野市ですが、湧き水やそば畑などの美しい自然環境にも恵まれています。農業では「いちご」「果樹(なし、もも)」の新規就農に力を入れている佐野市での都市型農業の可能性について伺ってきました。



佐野市の概要

アウトレットなどの商業施設が集まる「佐野新都市」

栃木県の南西部に位置する佐野市は、都心から70km圏内というアクセスの良さから、県内外たくさんの人が行き交う街です。インターチェンジや鉄道網が整備され、交通の要所としても知られる佐野市ですが、北部には森林や清流が流れ、南部では農工業といった第一次・二次産業が展開されるなど、都市と自然が共存する市でもあります。
 


名水百選に選定されている出流原弁天池湧水は栃木県指定の天然記念物

佐野市の農業

佐野市の特産はいちごで、スカイベリーの栽培が盛ん。フルーツライン沿いに並ぶもも、なしの直売所も人気

全国でも高い評価を得ているスカイベリー。贈答品として人気がある。

佐野市の南西部に位置するフルーツラインでは、20軒以上の観光果樹園で6月下旬頃から11月上旬頃までももやなしが販売されている

佐野市の主な農産物はいちご、かき菜、なし、もも、そばです。いちご狩りやフルーツライン沿いのなし・ももの直売所には毎年多くの人が訪れ、季節の味を楽しんでいます。
農家一戸あたりの経営規模が比較的小さく、兼業農家が多いのが佐野市の農業の特徴。高齢化が進み、後継者の確保が難しいという課題を抱えながらも、都心に近いという立地条件を生かした「都市型農業」を目指し、農業の振興に力を入れています。


研修制度「佐野市新規就農塾」

佐野市では、新しく就農を目指す人向けに「新規就農塾」を設けています。研修品目はいちごと、なしやももなどの果樹が対象です。研修生は県より認定を受けたとちぎ農業マイスターの熟練農家のもとでの実践的な研修を通し、就農に向けた準備ができます。


「新規就農塾」の募集内容

佐野市の「新規就農塾」は毎年、市内で新規就農を目指す人を若干名募集しています。現在募集している研修品目は「いちご」と「果樹」で、4月から翌年3月までの1年間学びます。対象年齢が18歳以上63歳未満と幅広いのも特徴で、安定した就農を目指せます。別途、年齢要件や審査はありますが、就農前の研修を後押しする国の就農準備資金にも対応しています。


[募集期間]
12月下旬まで
[実施期間]
4月から翌年3月まで
[対象者]
18歳以上63歳未満(応相談)
研修修了後、佐野市での就農・居住が可能な人
JA佐野の生産部会員として活動できること
[品目]
いちご、果樹(なし、もも)

[研修内容]
栽培技術の基本的な講義と実習
[応募方法]
下記へお問い合わせください。

JA佐野営農企画課 TEL:0283-24-3420


研修先インタビュー

佐野市のいちご農家 小林秀男さん

今回お話を伺ったのは、小林秀男さん。佐野市で40年以上、いちご農家として従事してきた熟練農業者です。佐野市でいちご農家をしていくことについて、ベテランの視点から教えていただきました。


いちご農家 小林秀男さん

スカイベリーを栽培している約33aの大型ハウス

小林さんが農業を始めたのは40年以上前。父のいちご栽培を継ぐ形で就農をしました。現在いちごの栽培総面積は92aにもおよび、約33aの大型ハウスも設置しています。品種は主に「スカイベリー」と「とちあいか」を栽培し、特に力を入れているスカイベリーは、「大きい、美しい、おいしい」三ツ星いちごとして、全国でも高い評価を得ている品種です。

JA佐野のいちご部会で、長年にわたり部会長を務めてきた小林さんは、これまで複数名の研修生を受け入れてきました。いずれの研修生にも、普段小林さんがやっている作業や工程などを教え、実際に体験しながら実践に近い学びの場を提供しています。


実際に就農するとなった時に、『こんなはずじゃなかった』と後悔しないように、研修中は私たちと同じ仕事を、同じ量やってもらうようにしています。普通であれば朝8時から夕方5時くらいまでの作業時間なのですが、繁忙期のいちごのパック詰めなどはもっと時間がかかりますからね。もちろん全てのパック詰めが終わるまで仕事は終わりません。でも、卒業したらそういうことも自分でやらなきゃいけないんですよ。その厳しさはきちんと伝えなければと思っています。


都心に近い佐野市。新鮮ないちごをいち早く市場へ届けられるメリットも

市内でも有数の大規模いちご農家である小林さんの農園では、多い時には日に2,000パックを出荷しています。それらを息子夫婦と小林さんの実弟、パート従業員を含めた12名ほどが交代で行います。


定植した苗の「葉かき」をしている様子

いちご栽培は3月頃から育苗をはじめ、9月半ばまで苗を育てます。その後、子株を定植し、葉かきなどの手入れをしながら、11月から徐々に収穫をはじめます。翌年5月末頃まで収穫は続きますが、3月からは再びその年分の育苗がはじまるので、休みはほとんどありません。また、小林さんのように大規模生産を行う場合には人手も必要ですが、佐野市でいちご栽培をすることには大きなメリットがあると言います。


まず、佐野市独自のメリットで言うと、都心が近いというところですね。新鮮ないちごを大きな市場にすぐ送れるという点は、強みだと思います。また佐野市だけでなく栃木県全体がいちごの栽培に力を入れており、いちご農家や栽培に関するサポートが手厚いんです。研修だけでなく補助金も含めてね。


研修先農家が農地探しやパート従業員などの人材確保を応援

サポート体制や都心への近さのほかに、安定して収穫できるのもいちご栽培の良さだと言います。いちごは高単価なため、事業計画も立てやすく、きちんと準備をしてのぞめば、早い段階からの安定経営も夢ではありません。


実際に私のところで研修をした数名のうち、2名の新規就農者がJAの収穫量ランキングでトップ5に入ったんですよ。きちんと計画して、安定した収穫ができているのですね。一方で佐野市は、農地探しや繁忙期の人手確保には苦労します。そういった意味でも、新規就農塾で研修を受けると、私たち研修先農家の地元のコネクションで支援しやすいんですね。


明るく、場を和ませながらインタビューに答えてくれた小林さん

会社を辞めて就農を考えている人には、それなりの覚悟を持って欲しいと小林さんは言います。


サラリーマンの方がよかった、なんて後悔して欲しくないんですよ。価格は安定している、事業計画は立てやすい、行政のサポートも受けやすいと、佐野市でいちご農家をするメリットはたくさんあります。でも一番大切なのは、やはり日々の地道な管理なんです。やる気があり、コツコツと着実にできる人なら、大歓迎ですね。


INFORMATION

【研修先農家】小林いちご農園

佐野市にて主に家族で営むいちご農園。92aもの広大な栽培面積を持ち、大型ハウスでの栽培も積極的に行っている。2代目として農園を継いだ小林秀男さんは、40年以上の農家経験をもとにJA佐野のいちご部会でも部会長を務め、佐野市のいちご農家の支えとなってきた。


まとめ

交通の要所で商業の元気な街でありながら、「都市型農業」に力を入れている佐野市。都心からの近さという強みを生かせる可能性も感じました。佐野市では随時、就農に関しての相談を受付けています。都市生活と農業の両立に興味のある人は、佐野市新規就農塾での研修を検討してみてください。


農地情報

佐野市では農業委員会事務局を通じて、地域の農業委員・農地利用最適化推進委員が農地仲介を行っています。本格的な就農を希望する人は、「新規就農塾」を通して農地を探すのがおすすめです。

 

〒327-8501佐野市高砂町1番地(3階)
●佐野市農政課
TEL:0283-20-3043
●佐野市農業委員会事務局
TEL:0283-20-3059


空き家情報

佐野市では空き家バンクも設けています。下記リンクにて移住情報なども含めた情報をアップしています。


#事例紹介

田舎暮らしに憧れてとちぎに移住!有機農業で生計を立てる関塚学さんの新規就農事例


相談窓口

佐野市では、就農を目指す人の相談を随時受け付けています。
はじめての農業、「どうすればいいか分からない」「まずは何から始めればよいのか…」など、悩むことだらけですが、丁寧に相談に乗ってもらえるので、ぜひ一度相談してみましょう!

【農地、移住や空き家情報】
佐野市農政課 TEL:0283-20-3043
佐野市農業委員会事務局 TEL:0283-20-3059

【研修制度「新規就農塾」】
JA佐野営農企画課 TEL:0283-24-3420

【就農相談一般】
安足農業振興事務所経営普及部 TEL:0283-23-1431
または佐野市、JA佐野(同上)


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