大田原市の概要
人々が大田原市に住み始めたのは、今から16,000年以上前の旧石器時代にさかのぼります。その歴史は、下侍塚古墳や長者ヶ平などで行われた遺跡の発掘調査によって確認されており、多くの史跡が残されています。
中心市街地には、地元地産のスーパー、子育て支援施設、図書館を兼ね備えた複合施設があり、病院や診療所なども充実していて生活の利便性がよく、子育てにも適した環境です。子育て支援センター、つどいの広場、子育てサロンなどがあり、親子の交流や子育てに関する相談もできます。
大田原市の中心市街地で開催される「大田原屋台まつり」では、お囃子(はやし)のぶっつけなどの伝統的なパフォーマンスが見どころです。9台の屋台によるお囃子の競演が特徴で、祭りのクライマックスには盛大なお囃子の音色が響き渡ります。
また、約6,000株の紫陽花が咲く黒羽城址公園では6月に「くろばね紫陽花まつり」が開催されるほか、平家物語で有名な那須与一公ゆかりの「与一まつり」が夏に開催されるなど、さまざまなイベントが季節を彩ります。
黒羽地区を流れる那珂川は、天然の鮎が遡上する鮎釣りの名所です。平成14年度には日本釣振興会に「天然アユがのぼる100名川」に選定され、日本有数の鮎の漁獲高を誇ります。鮎釣りの解禁日の6月1日から県内外の釣り愛好家が訪れ、初夏の風物詩ともなっています。
9月には市の観光協会が主催する「芭蕉の里くろばね鮎釣り大会」が開かれます。2024年は90人の参加者が釣果を競い合いました。
毎年、11月23日に開催される「大田原マラソン大会」は、栃木県内唯一の日本陸上競技連盟公認のマラソン大会です。
「制限時間4H、自己への挑戦状!」のキャッチフレーズのとおり、制限時間が4時間と、市民ランナーにとっては厳しい設定ですが、前半が下り、後半が上りのすり鉢状のコースは、高低差が約80m程度で戦略的に走ることができれば記録の出やすいコースと言われています。
参加者数は3,000人程度の中規模大会で、ストレスなく自分の走りに集中することができること、また、一般ランナーでも自分で配合したスペシャルドリンクを配置できるなど、「走る」ことに特化した、競技性の高さが人気のマラソン大会です。
大田原市の農業
約16,000年前の旧石器時代から人々が暮らしてきた大田原市は、肥沃な土壌と、豊富な清流に恵まれています。これにより、農産物の一大生産地として発展してきました。
扇状地の中央にあり、山地を流れる河川が運搬した砂礫(されき)が堆積してできた土地なので、山の草木の枯れ葉なども運ばれ、それが土壌の栄養にもなっています。
鮎が遡上するほどきれいな清流にも恵まれています。農業に大切な土、水がそろっているうえ、山が多い栃木県北部の中でも比較的平坦な場所が多く、そのために様々な作物を育てることができます。
那須野が原は「穀倉地帯」として知られ、水稲の生産量は栃木県内第1位。さらに、いちご、うど、にら、なす、ねぎ、トマト、きゅうり、アスパラガス、すいかといった多様な野菜に加え、ブルーベリー、なし、お茶、とうがらしなど、幅広い作物が栽培されています。
また、畜産も盛んで、上質な肉用牛や乳用牛、鶏が飼育されており、それに伴って飼料用作物の栽培も行われています。
6品目から自由に選べる1年間の就農準備研修
大田原市、那須塩原市、那須町、JAなすので構成する「那須地域新規就農支援協議会」で、那須地域での新規就農を希望する人向けの研修を実施しています。
[研修内容]
本格的に就農を目指す人向けの研修で、下記の2コースがあります。
■Aコース:とちぎ農業未来塾 就農準備専門研修Ⅰコースと派遣農家での併用研修
■Bコース:派遣農家のみでの研修
研修品目は、いちご、にら、アスパラガス、ねぎ、なす、なしのいずれか。
[研修期間]
4月1日~3月31日の1年間。
[研修費用]
無料。Aコースのとちぎ農業未来塾就農準備専門研修Ⅰコース受講料や
研修に係る交通費、宿泊費、食費、作業服、障害保険料等は研修生本人が負担。
[対象]
義務教育を修了した者で就農に意欲があり、研修終了後は那須野農業協同組合管内において、農業経営に従事することが確実と見込まれる満18~48歳未満(研修申込時点)の心身ともに健康な者。
[募集期間]
2024年11月5日~2025年1月24日
[募集人数]
若干名
5〜7日間程度の短期研修(農業インターン)
那須地域での独立就農を目指す人を対象に、栃木県の農業インターンシップ制度を活用した短期研修を用意しています。1年間の本格研修の前に、5〜7日間の短期研修に参加することで、農業への理解を深め、就農イメージを具体化するのに役立ちます。
[研修内容]
那須地域新規就農支援協議会研修の希望者が、農業研修への正しい理解を得て、具体的な就農イメージを構築できることを目指します。
研修品目は、いちご、にら、アスパラガス、ねぎ、なす、なしのいずれか。
[研修期間]
原則5日以上7日以内。
研修生及び受け入れ農家の希望により、複数回に分けての研修や、研修日数の延長も可能。研修日程は、研修生と受け入れ農家双方が合意したうえで決定。
[研修費用]
無料。ただし、研修に係る交通費や宿泊費、食費、障害保険料等は研修生本人が負担。
[対象]
満18~47歳で、那須地域で就農を希望する者かつ本格的に農業を学びたい者。
次年度に那須地域新規就農支援協議会の研修制度の活用を予定している者。
[募集期間]
随時
[募集人数]
若干名
研修先インタビュー 菅生農園 菅生賢治さん
大田原市で7代続く農家の菅生賢治さんは、父親の代まで稲作を中心に行っていましたが、約20年前からいちご栽培にも取り組んでいます。
栽培している品種は「とちあいか」。栃木県農業試験場いちご研究所で開発された品種で、現在、栃木県内で広く栽培されています。本格的に普及される前の試験品種のころから、菅生農園はとちあいかを栽培しています。
地域のいちご栽培の未来を見据え、若手農家の育成に尽力したい
現在、菅生農園は菅生さん夫妻と息子夫妻が中心となり、農繁期にはパート従業員を雇用して経営しています。菅生農園では後継者を確保できていますが、全国的には農業人口の減少や後継者不足が深刻な問題です。この地域でもいちご農家の仲間が減少してしまうことに、危機感を抱いています。
息子の代になったときに、仲間が一人でも多くいてくれたら、やりがいにもつながります。
この地域でいちごを作る仲間をどんどん増やそう、そのためには後継者だけでは追いつかないから、新しい人を入れていきたい。そんな思いから、研修生を受け入れています。
その時期ごとの作業を一緒に行う
研修は、とちぎ農業未来塾Ⅰコースでの座学と実習、農家での実地研修との組み合わせで行います。菅生さんの畑で研修を行うのは原則週に2回、火曜日と木曜日のみ。実地研修で何から何まで体験することは難しいですが、4月の苗づくりから1年を通して一通りの作業を体験できます。
1日の研修スケジュールは、朝8時から午後2時まで。研修内容は、畑の管理や、季節によっては収穫など。繁忙期には、それ以降の時間にいちごのパック詰めなどの作業を行います。
研修でできることは限られているので、研修生の関谷さんも、自分で畑をもって作業を始めるようになってからもわからないことはたくさん出てくると思います。
関谷さんが借りるほ場は、ここからそれほど離れていないし、研修が終わってからも1~2年目は手取り足取り教えるつもりです。
3年目からは、わからないことがあったら自分から教えを請いにくるように言っています。
いちごを育てるのには、いろいろな技術が必要なんです。これだけが正解というものがない。
大田原のいちご農家は、みんなお互いにいい方法を見つけたら包み隠さず教え合うんです。こういう仲間がいる地域だからこそ、大田原のいちご栽培技術を高めあえていると思いますし、農業を営むうえでの大きな力になります。
他業種を経てUターン。農業で独立自営を目指す研修生の関谷遥希さん
大田原市出身の関谷遥希さんは、鹿沼市で住宅建材の営業職として働いていました。会社員として数年を過ごすうちに、地元に帰って起業したいと思うようになり、農業に興味を持ちました。
就農を考えるようになって、まず、とちぎ農業経営・就農支援センター(栃木県農業公社)のワンストップ相談窓口を訪れました。それが今から2年半くらい前です。新規就農者研修への参加をすすめられましたが、その年の応募期間が過ぎてしまったんです。
1年間の空白期間ができたので、知り合いの宇都宮市のいちご農家で手伝いを始めました。そこで実際に作業したり、話を聞いたりして、自分もいちご農家を目指そうと決めました。
大切なのは「観察力」そして「慣れる」こと
週に2回の実地研修では、菅生さんのもとで作業を覚えるのに苦戦する日々を送っています。
かん水(水やり)や薬剤をまくタイミングなどが難しいですね。
菅生さんからは、苗の観察はとても大切だと指導されています。ハウスの中を一周しても、菅生さんは瞬時にいろいろなことに気づいて適切な処置をされますが、今の自分では病気や虫などもまだ発見できません。
病気や虫をぱっと見ただけでわかるようになるのは、観察力と慣れですね。
最初はわからなくて当然なんです。この先、身につけていく課題だと思っておけばいいんです。
あと、苗の観察をするときはルーペをもって回るように話しています。葉についた虫を肉眼で発見できるようになるときには手遅れになりかねないからです。
とちぎ農業未来塾と農家での研修の違いから、自分に見合ったノウハウを学ぶ
とちぎ農業未来塾での研修では、座学以外に校内ほ場での実習を行います。
未来塾は一人当たりの作業面積が小さいので、作業効率を考える必要がありませんが、農家での研修では、作業量と効率も考えながら動かなければなりません。
研修が始まる前から、自分なりに調べたり、データを見たりして学んでいたという関谷さんですが、今は考え方が変わったと話します。
地域によっても、農家によっても栽培方法や薬の使い方が違います。その場所の土の質によって肥料も変わります。
本やインターネットから得る知識だけでなく、実際にいろいろな作業方法を学んだうえで、取捨選択して自分なりの良策を考えていけたらと思っています。
就農を目指すならすぐに行動を!
関谷さんはタイミングを逸して、1年間研修開始が遅れました。その経験から、「もし農家を目指しているなら今すぐにでも動いてください」とすすめてくれました。
いちご農家になるためには研修を受けたほうが確実で、結果として近道になります。
資金がかかるため融資を受ける必要もありますから、そこもしっかり調べなければなりません。資金の準備ができないとスタートできませんから、まずは県のワンストップ相談窓口に相談してみてください。
これから就農を目指す人たちへのメッセージを伺うと、菅生さんは率直に答えてくれました。
技術面ならいくらでも教えられるし、就農後に農作業のことで困ったことがあればバックアップできます。
でも、就農して最初は収入がないわけです。私たちも生活の面倒まで見ることはできないから、その間の生活のこともしっかり考えておいてほしいと思います。夢や希望だけでは立ち行かなくなることもあります。
ただ、農業は1年中休みがとれないといったイメージはもたなくて大丈夫です。収穫期などは毎日のように作業がありますが、きちんと休みがとれる時期もありますよ。
INFORMATION
菅生農園
代々農業を営み、菅生賢治さんは7代目。20年くらい前から、トマトといちごを作り始め、現在はいちご(とちあいか)40aと水稲4haを栽培。
農園の運営は菅生賢治さん夫妻と息子さん夫妻の4人で行い、農繁期のみパート従業員を雇用。
とちあいかの栽培に早期から取り組んだ。
さいごに
那須地域新規就農支援協議会研修、農業短期研修(農業インターンシップ)では、受け入れ先の農家ごとに研修内容などが異なります。
6品目から自由に作物を選んで研修が受けられる選択肢の多さもメリットです。相談窓口でも就農希望者の要望をよく聞いて、それに合った提案をしてくれますので、ぜひ相談してみてください。
農地情報
大田原市農政課・大田原市農業委員会・大田原市農業公社が連携し、農地に関する相談の受付、農地確保に向けた支援を行います。
空き家情報
空き家等情報バンクに、大田原市内の空き家情報が掲載されています。
相談窓口
【新規就農全般の相談窓口】
大田原市 産業文化部 農政課 農政係
〒324-8641 栃木県大田原市本町1丁目4番1号
TEL:0287-23-8708 FAX:0287-23-1507
Mail:nousei@city.ohtawara.tochigi.jp
【農地の相談窓口】
大田原市農業委員会
〒324-8641 栃木県大田原市本町1丁目4番1号
TEL:0287-23-8716 FAX:0287-23-8287
Mail:nougyou@city.ohtawara.tochigi.jp
(公財)大田原市農業公社
〒324-0041 栃木県大田原市本町1丁目3番1号
TEL:0287-23-4834 FAX:0287-23-4857
Mail:dainoukou@ag.wakwak.com
【移住の相談窓口】
大田原市移住・定住交流サロン
〒324-8641栃木県大田原市本町1丁目3番1号大田原市役所A別館2階
TEL:0287-23-8794 FAX:0287-23-8748
Mail:salon@ohtawara-ijyu.jp