情報記事

【足利市】山地と平野が交わる最古の学校が在る街。先輩と共に育つ温かな研修環境とは?

栃木県南西部にある足利市。住環境も整備され、どの世代でも快適で安心に暮らせる人気の街です。恵み豊かな自然が育む米麦、いちご、トマト、アスパラガス、トルコギキョウ、露地野菜などが主な農産物。「住と農のバランスがほどよい街」の、人から人へ伝える温もりあふれる研修を紹介します。



足利市の概要

栃木県南西部にある足利市は東京から約80キロ、電車で70分、車で約90分の場所に位置します。市の北部は自然豊かな足尾山地、南部は関東平野が広がり、街なかに渡良瀬川が流れ、「史跡足利学校」を擁する風光明媚な歴史ある地域です。


西南部は群馬県、北東部は佐野市に隣接する足利市。「足利銘仙」で知られた古い織物の街でもあることから「小京都」として、石畳を着物姿で歩く女性の姿も見られます。

海外の放送局が選ぶ「世界の夢の旅行先10か所」の1つに選ばれた「あしかがフラワーパーク」は、350本以上の藤の花が咲き誇り「花の楽園」とも呼ばれます。

ご紹介したのは見どころあふれる街のほんの一部。ぜひ、一度訪れて観光資源、住環境、街の魅力に触れてみてください。

 

移住先としても人気!足利市の暮らし

足利市は、埼玉県と群馬県の県境に位置し、東京から約80km(電車で60分、車で約90分)で、都心からのアクセスも良好田舎すぎず都会すぎない住環境は子育て世代にも人気です。「住みたい田舎ベストランキング」の「若者世代が住みたい田舎部門」では、北関東で上位にランキングされています。2022年7月には、東武伊勢崎線足利市駅構内に足利市移住・定住相談センター「En no sita - 燕のした」がオープンしました。

 

農業も盛ん!「あしかが美人ブランド」とは?

JA足利では、「足利の中央を流れる渡良瀬川の清らかな水と、豊富な日照、肥沃な大地に育まれた新鮮野菜を食べて身も心も一層綺麗になってもらいたい」との願いを込め、足利主要7品目(いちご、トマト、アスパラガス、大根、にんじん、なす、きゅうり)を「あしかが美人」と命名しブランド野菜として販売しています。また、花の栽培も盛んでトルコギキョウは、県内一の生産量を誇ります。

 


足利市新規就農塾

月額50,000円を半年ごとに支給! 先輩に学びながらスキルを習得!

新たに足利市内で就農したい方が農業技術や知識を習得するために、先輩農業者が就農希望者を受け入れる研修として、「足利市新規就農塾」を用意しています。
「足利市新規就農塾」では、多彩な研修品目(いちご、トマト、トルコギキョウ、アスパラガス、大根、にんじん、なす)に対応しており、研修は4月に限らず、就農希望者の都合に合わせて始められるのが特徴です。
また、市、県安足農業振興事務所、JA、先輩農業者等が連携して、技術研修だけでなく、農地・空き施設のあっせん、支援事業の活用もサポートしています。
 

研修生への支援制度として用意されているのがこちら。

[事業内容]

足利市内で大根、にんじん、なす、トマト、いちご、トルコギキョウ、アスパラガスの生産を新たにはじめたい方が、農業技術や知識を習得するために必要な研修を受ける際の費用などを支援します。

[対象者]

①年齢 18歳以上で62歳以下の方

②研修後、1年以内に足利市内で就農・経営を開始する方

③JA足利の生産部会員として活動できる方

[支援内容]

月額50,000円を毎月支給(最長1年間)

※国や県の就農給付金等を受給している方を除く

[連絡先]

JA足利 営農経済部営農振興課

TEL.0284-22-4433


研修先農家さんにインタビュー

今回は、さまざまな支援を利用した研修生がお世話になったいちご・根菜・トルコギキョウの研修先農家さんに、足利市の農業の魅力・研修内容を聞いてきました!


①JA足利 いちご部会 嶋田雅幸さん

左から就農2年目の谷津圭亮さん、嶋田さん、就農6年目の小林大介さん

足利が栃木のいちご栽培発祥地!

「この地域のいちご栽培の歴史は古く、足利生まれの仁井田さんが静岡県から栃木県にいちご栽培を導入し、新しい栽培方法を築いたといわれています」と笑顔で話す嶋田さん。生産量全国一を続ける栃木のいちごの発祥は、ここ足利市なのだそうです。


谷津さんの研修風景

家族のように迎え入れて一緒に作業する

「生産が落ち込む時期もありましたが、現在は新規の就農者も増え、心強いばかりです。研修生は私の家族やパートさんと一緒に作業をしながら技術を学びます。土づくりから畝づくり・育苗・苗の管理・定植・ランナーの誘引・収穫・出荷まで。間に土壌消毒や農業機械の扱い方なども含め、1年間の作業の中で必要な技術や知識を習得できます」

 

谷津さんと小林さんの2人は、嶋田さんの元を巣立った研修生。新規就農では難しいといわれる農地の確保も、嶋田さんの尽力により無事に借りることができました。

 

「若い人たちと会話するだけで元気がもらえます。いちご部会でも若い人の力を活かしていきたいですね」と、元研修生たちを頼もしげに見つめながら話してくれました。


JA足利いちご部会長を務め、県の農業士でもある嶋田さん

②JA足利 根菜部会 清水利治さん、清水茂さん

就農2年目の安藤敬太さんを囲んで右が清水利治さん、左が清水茂さん

息子のような感覚の研修生

清水利治さんは2年前に初めて研修生の安藤さんを受け入れました。「12月の種まきから始まって、にんじん、大根、里芋の栽培作業を1年間、手取り足取り教えました。根菜は重いし、市場価格も低迷しているし、大変だよって言ったんだけどね」と笑います。

 

 

安藤さんはご自身の息子さんの友人で、ご両親ともスキーに出かけていたという間柄。「せがれのような感覚で受け入れました。やるんだったらしっかり面倒みて協力しないと。農協にも一緒にあいさつに行きました」と家族のような関係性で研修がスタートしたそうです。


 


研修中の安藤さんと清水利治さん

他業種経験の後に、父親の農業を継いだ利治さんには、同じく他業種から参入の安藤さんの気持ちが理解しやすいのかもしれません。農繁期で収穫作業が間に合わない時には、JA足利根菜部会で安藤さんをサポートしています。「休みを取りたいのはわかるんだけど、収穫が一段落しないとね」と諭しながらも、温かな眼差しを向けていました。


「露地栽培は大変だから、人手が少なくて。安藤くんは期待の新星!」と自身も米・根菜を栽培する利治さん

収益に関わる農地の確保

利治さんと同姓ながら縁戚関係はないそうですが、ともに安藤さんの研修を支え、農地のあっせんに尽力したのが足利市農業委員の清水茂さん。露地栽培は農地の広さも収益に関わるため、その確保は重要です。

 

「この土地の川の反対側は田んぼですが、この辺りは畑(露地野菜)に向いており、条件のよい農地をあっせんしました。このあたりの農地ならどこがどのような作物に向いているか把握しているので、借り手を探している農地の中から口聞きするよ、と話しました。ほかにも知り合いの研修先農家さんから『土地ねえか?』と聞かることもあり、希望に合った農地かどうか確認してから、OKが出れば『じゃあ、聞いてくるから』と話に行ってまとめてきたこともありますね」と笑顔で教えてくれました。


米麦と根菜を栽培し、JA・根菜部の部会長で市の農業委員も務める清水茂さん

ここ足利市では先輩農家さん同士のネットワークの中、さまざまな口添えが身を結んで、就農者が農地を確保できる流れになっています。農家さん同士が構築した信頼関係の上に、研修生との信頼が結びつき、実践者の的確なアドバイスと手ほどきを受けることで、新規就農者も安心な体制ができています。


 


③JA足利 花き部会 岡田輝行さん

研修生の一鐡(いってつ)創さん(右)と岡田さん。今でも師匠からの学びはたくさんあるようです

人気の花は足利に最適!?

最後は、やさしく澄んだ色合いの花色が特徴のトルコギキョウを栽培されているハウスを訪れました。栽培農家の岡田さんは、25年前に米農家だった実家の跡を継ぎ、15年前にトルコギキョウの栽培を始めました。切り口を新鮮に保つことで花持ちがよく、冠婚葬祭にも好まれる人気の花。研修生は定植から土づくり、管理、収穫、出荷までの1年間をともに作業することで技術を得られます。


 

「収穫は11〜6月の間で、二番花まで出荷することで収量が増え、経営が安定します。他地域では収穫が一度のことが多いですが、足利は冬場はからっ風が吹いて日照量が多く、トルコギキョウのような施設園芸には最適な地域なのだと思います」と岡田さん。


施設栽培の確保も連携

また、技術の伝達も栽培のポイントごとに適宜行います。「たとえば病害虫対策として、6月の出荷後はハウス内の太陽熱消毒と水張りを指導します。花が咲いているとついつい出荷したくなり、消毒の時期が遅れて、消毒期間が短くなることがあるからです。連作障害を起こさないためには重要なんだよと伝えていますね」と教えてくれました。

 

施設園芸の場合は農地とあわせて農業用施設(ハウス)の確保も気になります。昨年まで研修生だった一鐡さんのハウスは、元トマト農家さんの施設。施設園芸は初期投資がかかるため、空きハウスを継承できると就農のハードルが下がります。空きハウスの情報も、先輩農家さんたちがしっかりと共有し、市やJAと連携。新規就農者が参入しやすい環境づくりに取り組んでいます。


 最後に新規就農を考える人へのメッセージを聞くと「トルコギキョウでいえば、花自体がきれいだし、日本の品種が世界のシェアの8割ほどを占めています。そして足利は県内でも一番の産地。生産者としては飽きないですね。これから栽培を始めたいという人がいればバックアップは万全です」と太鼓判を押してくれました。


東京での他業種経験の後、農業を継いだ岡田輝行さん

④まとめ

以上、足利市の研修体制はいかがでしたでしょうか?

 

どの部会でも、飲み会が盛んだという話を聞きました。先輩たちが「若い人たちと話ができて楽しい」と言えば、研修生も「気にかけて声をかけてくれて、つながりがあることで張り合いも、良い緊張感も生まれます。疑問は先輩方にすぐに相談しています」と話します。


 

新規就農者を先輩農家さんたちが支え、見守り、育てるのが足利のスタイル。アットホームに、家族のように研修生を迎える先達たち。温かく励ましながら、ときに指導の言葉を伝えながら。最古の学校のある街は教育の真髄が浸透しているのかもしれません。「人」が「人」を育ててきた、足利らしい研修のあり方に農業の明るい未来が見えるようでした。


 


トチノインタビュー動画 #02研修制度の紹介(足利市)

農業を始める前の研修について先輩農家が語る

(いちご:小林大介さん、谷津圭亮さん、根菜類:安藤敬太さん、トルコギキョウ:一鐵創さん)


農地情報バンク

農地のご相談については、市農業委員会にて随時受付!
希望の品目や住まいなどを踏まえて、農業委員や農地利用最適化推進委員が中心になって農地探しをバックアップ。

 

空き農地は、農地情報バンクで公開しています。また、新規就農希望者用に一部農地を確保しています。(露地野菜向け農地1件)


空き家・空き地情報

空き家・空き地の売買・賃貸について、所有者の申し出に基づき、物件情報をホームページなどで広く情報発信しています。また、足利市への移住定住を促進するため、空き家・空き地バンクを利用して購入した空き家の改修費の一部を支援する補助制度もあります!


相談窓口

新規就農などの相談は、産業観光部農政課や農業委員会事務局で受け付けています。

 

〒326-8601 栃木県足利市本城3丁目2145番地
【研修制度】足利市 産業観光部 農政課 農政担当
MAIL:nousei@city.ashikaga.lg.jp
TEL:0284-20-2160

【農地情報】足利市 農業委員会事務局
MAIL:nougyou@city.ashikaga.lg.jp
TEL:0284-20-2238 
 


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