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農業を仕事に!図解でわかる就農の手順書【新規参入篇】

新規参入とは「独立・自営」する非農家出身の新規就農者のこと。自ら新規事業として農業を志し、就農するタイプです。就農に必要な農地や施設・機械を準備する必要がありますが、各種の研修や補助金・助成金なども活用することで、思い描く就農スタイルを目指せる可能性も。まずは就農までの流れをつかみましょう。



新規参入とは?

親から農業を継ぐのではなく、農業以外の業界から自分で起業し独立した経営者として農業をはじめる人のことです。

農地・住居の確保、施設・機械などの設備投資と資金計画、作目の選定・栽培、販路開拓、出荷の方法など、計画性と実行力が求められます。

新規就農者への支援が手厚い地域も増えているため、制度をじっくり検討しましょう!

 

 


就農までの流れ

「農業をやりたい!」という熱い思いをかたちにするには、慎重な計画こそが近道です。

ステップを踏んで、無理のない独立を目指しましょう。

栃木県では、まずは自分が農業に向いているか、自己分析をするところからサポートします!

 

 


【step1】就農を知ろう!まずは情報収集!


「農業をはじめる」には情報がマスト!

情報収集の段階から助成金も調べて、全体の流れをつかもう!
 

 


1.1 自己分析

新規参入を目指す、高い志をさらに分析。 

 今の仕事に疲れて転職、だけでは続かない可能性も 
 

 

まずは農業に向いているのか、自己分析をしてみましょう。

なぜ農業なのか、なにを農業で実現したいのか、冷静に考える時間を持ちましょう。

農業経営のイメージ、就農地域の選定、資金計画なども固めておくと安心です。



1.2 家族・知人に相談、情報を得る

家族の納得と援助は、会社勤めよりもキーになる!

コミュニケーションを密に取って、全員を自分の味方に

 


就農にあたって、相談するべき人はいませんか?

資金や労働力を確保する上でも、家族や友人などの協力は必須です。身近に相談できる人がいれば、精神的な支えにもなります。特に、移住を伴う就農は、家族とよく話し合って決めましょう。

親子・兄弟・家族・パートナー・友人・知人・先輩など多くの人の意見を聞くと、思いがけない情報を得られます。

本や雑誌・Webサイト・SNSなどでも情報を集め、知識を増やしてイメージを浮かべてみましょう。

 

 


1.3 就農相談

作目を決める?就農地を決める?

相談窓口で、夢を具現化する第一歩を踏み出す

 

予定地が決まっていない場合

栃木県内の各自治体では、新規の農業参入者への相談窓口を準備しています。

栃木県への相談窓口からも各自治体の案内を行っています。

自分の取り組みたい農業のイメージを伝えるとスムーズです。

具体的なイメージが固まっていないときは栃木県農業振興公社(とちぎ農業経営・就農支援センター)へ相談するとよいでしょう。

 

予定地が決まっている場合

気になる就農予定地の関連窓口では、地域の実情に応じたアドバイスが受けられます。

自分の取り組みたい農業を伝えることでより具体的な回答が得られるでしょう。



1.4 農業体験

 「農業」を体にしみ込ませましょう! 

 農泊体験やお手伝いも含め気になる作物の農業体験を 

 


就農を決断する前に「農業とはどういうものか」を実際に体験しましょう。

さまざまな体験で自分の目指す職業であるかを見極められます。

また、就農作物を決めるためにも農業体験は必須です。

労働時間に対する利益率、収穫効率なども体感することでイメージが広がるでしょう。


迷ったらとりあえず相談

こうかな?どうかな?と
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【step2】就農準備にかかろう!


 就農に必要なものをごっそり紹介。 

 就農準備校やお金の準備方法、就農までの流れをチェック! 


情報を集め、体験を重ねたら、いよいよ次の「就農準備」段階です。

さらに実践的な研修や技術習得、農業の事業計画にあたる「青年等就農計画」を作成します。

将来の具体的な設計図を作ることで、事業の道筋と経営者としての心構えを示すことができるでしょう。

「認定新規就農者」として認められれば、各種助成金・補助金などの申請もスムーズ。

資金や農地・住居の確保、資格の取得なども考えておきたいところです。

 

 


2.1 作目の選定

 どうせなら「稼げる農業」!? 

 作目によって収穫量や売上高、施設維持の経費が異なります 


栃木県は、米、いちご、トマトなど多様な作目の適地です。作目の選定は研修や就農地の決定に重要な要素。

新規参入の志向品目のトレンドなども参考に、できるだけ早めに候補を絞り込み、必要な情報を先取りして考えておきましょう。

高単価な作目は施設が必要になったり、年間を通じた定期的な収穫が見込めなかったり。

さまざまな要素を想定して選ぶことが重要です。

 

 


2.2 農業で生計を立てる"決断"

人生を賭けて、夢を描ける職業なのかを決断。

定期収入がなくなるイメージを描いてみる


就農の意向が固まったら、農業経営の目標・スケジュールも定めていきましょう。

会社員のように定期的な収入が入るとは限りません。

収益の上がる可能性の高い作目や適した農地、自分のライフスタイルとのすり合わせなど、生計を立てるための手応えをつかんでおくと安心です。

前職での経験も参考に、実効性のある目標が定められているかを再確認します。

 

 


2.3 農業研修で技術習得

 次世代の就農者を育てる研修の種類が充実。 

 研修のスタート時期を知って自分のプランと調整を
 

農業経験が少ない場合は技術の習得が必要不可欠です。

専門の教育機関で学んだり、先進農家で実践的な研修を受けたりして、技術や経営を学びます。

農業規模、自分の志向・レベルに応じて最適な方法を選びましょう。
 

教育機関(栃木県農業大学校)で学ぶ

基礎的な農業経営の知識や作物の栽培技術などを研修できます。

農家になりたいけれどなにからはじめればいいのかわからない、新たな作目を導入したいなど、基本的なことを学びたい方に向けたコースがあります

 

先進農家で学ぶ

進んだ技術を持つ先進農家で一定期間の実践研修をしています。

研修中は、現場の技術と自分の知識との差に悩むこともあると思いますが、受け入れ先の技術・ノウハウは、一から学びとることで将来につながります。


2.4 資金の計画

 情報取集期間、研修期間、就農直後の資金計画。 

 なにをはじめるのにもお金の準備は大切! 


農業は、すぐには収入が得られません。

作物・家畜を育て、出荷・販売して初めて収入になります。

自分でゼロからはじめる新規参入では特に資金が必要。

作目によっても無収入の期間は変わりますが、実践研修の時期と合わせて約2年間の生活費の貯蓄を準備しておきましょう。

一定の要件はありますが、就農前の研修を後押しする「就農準備資金(最長2年間・年間最大150万円)」や、就農直後の経営確立を支援する「経営開始資金(最長3年間・年間最大150万円)」を利用することもできます。

 

 


2.5 認定新規就農者になるための申請・認定

 「青年等就農計画」を提出して認定新規就農者に! 

 審査後、認定されたら各種補助金の申請を

 

自分のやりたい農業のイメージを具体的にすることで目指すビジョンが明確になります。

「青年等就農計画」を作成すると、いつから、なにを、どこで、どうするなどの将来の構想、所得目標をまとめることができます。

作成にあたっては、市町・県農業振興事務所に相談できます。

青年等就農計画を作成したら、就農したい地域の各市町に「認定新規就農者」の申請をしましょう。

審査後、認定されることで関係機関からの濃密な指導や、無利子で融資が受けられる「青年等就農資金」や、就農後の生活を支える「経営開始資金」の申請などが可能になります。

※詳細は各市町の担当課へご相談ください

 


 申請先 
各市町の農政・農業振興課など

 青年等就農資金について 
日本政策金融公庫HP(https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/seinen.html

 経営開始資金について 
農林省HP(https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/n_syunou/roudou.html


2.6 資格の取得

 自動車教習所以外でも取得が可能。 

 大型特殊自動車などの資格も視野に入れましょう 

 


農業ではトラクターやコンバインなど特殊な自動車を扱う場合があります。

距離の離れた畑までトラクターで移動するなど、大型特殊自動車が公道を運転するためには免許が必要になります。

「大特免許(農耕車限定)」は農業大学校で取得することも可能です。

 


2.7 農地を借りる・取得する

 作目に合った土地探しもやっぱり「人」。 

 地域と信頼関係の構築を 
 

就農候補地が決まると、どのように農地を入手するかが課題です。

耕作放棄地が報道される一方で、地権者としては「信頼できる人に借りてほしい」という本音も。

生産手段であり、財産である農地の情報は然るべき機関に相談して紹介してもらうのが最も近道です。
 

 


2.8 住居を借りる・取得する

 農地から近く、利便性のある住居とは? 

 家族との話し合いも濃密に 
 

就農希望先の市町の移住担当部署を通じて探してもいいでしょう。近年は、空き家バンクの情報も充実してきています。

農地・作業小屋・機械器具の格納庫・納屋に近いこと、家族の同意、生活環境(ライフラインや日照・学校・交通の便)を考えて選定しましょう。

地域によっては助成金などを活用できる場合もあります。

 

 


2.9 資金の確保~機械・設備・資材の準備

 資金不足を招かない! 

 安全な方法での資金確保を考える 


事業をはじめるのと同じように、農業も相応の開始資金や運転資金、収入が得られるようになるまでの生活資金が必要です。

また、作目によっては多くの経費がかかります。離農した農家の農機具や施設を利用することも考えましょう。

審査で適正と認められた場合は無利子の融資制度(青年等就農資金など)も活用できますが、負債は経営を圧迫するためできる限り控えたほうが得策です。

 

 


迷ったらとりあえず相談

こうかな?どうかな?と
悩む時間はもったいない!
気軽に相談してみよう!

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【step3】めでたく就農!


一般に就農するまでは、2年程度の準備期間を要しますが、やがて自分の力で営農していく日が訪れます。

そこにはさまざまな困難が待ち受けている可能性もあります。

でも、初心を貫けばきっと未来は開けるでしょう。みんなの暮らしを豊かにする農業であなたの力を発揮してください!

 


【まとめ】~営農へのステップ~

 就農から営農へ。 

 能力を最大限に開花させて儲かる農業への道! 


 


情報収集から始まって、就農準備、晴れて就農まで。

これからは地域との信頼関係を醸成しながら、栽培技術の向上、販路開拓、経営規模拡大など農業経営を発展させていく。

この手順書のステップを踏んできたあなたなら、きっと大丈夫。

でも、最後にもう一度、自分の農業への適性を自己分析してみましょう。見逃していた項目があれば補完すると安心です!
 

 


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