農家の始め方ガイドブック
栃木県 主要営農モデル
地域別の代表的な農産物

3つの異なる地形のおかげ
東西約84km、南北約98kmに及ぶ栃木県には山地も平地もあり、エリアごとに異なる自然環境が形成されています。東部の八溝(やみぞ)山地には標高600〜1,000mのなだらかな丘陵地、北部から西部にかけては那須連山や日光連山など標高2,000m以上の火山が連なる険しい山岳地帯、中央部には那珂川、鬼怒川、渡良瀬川の沿岸平野部があります。山岳地帯には、諸河川の水源になっている滝や湖沼が点在しているのも特徴です。
営農には経費等の計算が
必要不可欠
作目の選定
作目によって収穫量や売上高、施設維持の経費が異なります
栃木県は、米、いちご、トマトなど多様な作目の適地です。作目の選定は研修や就農地の決定に重要な要素。
新規参入の志向品目のトレンドなども参考に、できるだけ早めに候補を絞り込み、必要な情報を先取りして考えておきましょう。
高単価な作目は施設が必要になったり、年間を通じた定期的な収穫が見込めなかったり。
さまざまな要素を想定して選ぶことが重要です。
農業で生計を立てる"決断"
定期収入がなくなるイメージを描いてみる
就農の意向が固まったら、農業経営の目標・スケジュールも定めていきましょう。
会社員のように定期的な収入が入るとは限りません。
収益の上がる可能性の高い作目や適した農地、自分のライフスタイルとのすり合わせなど、生計を立てるための手応えをつかんでおくと安心です。
前職での経験も参考に、実効性のある目標が定められているかを再確認します。
資金の計画
なにをはじめるのにもお金の準備は大切!
農業は、すぐには収入が得られません。
作物・家畜を育て、出荷・販売して初めて収入になります。
自分でゼロからはじめる新規参入では特に資金が必要。
作目によっても無収入の期間は変わりますが、実践研修の時期と合わせて約2年間の生活費の貯蓄を準備しておきましょう。
一定の要件はありますが、就農前の研修を後押しする「就農準備資金(最長2年間・年間最大150万円)」や、就農直後の経営確立を支援する「経営開始資金(最長3年間・年間最大150万円)」を利用することもできます。
資金の確保~機械・設備・資材の準備
安全な方法での資金確保を考える
事業をはじめるのと同じように、農業も相応の開始資金や運転資金、収入が得られるようになるまでの生活資金が必要です。
また、作目によっては多くの経費がかかります。離農した農家の農機具や施設を利用することも考えましょう。
審査で適正と認められた場合は無利子の融資制度(青年等就農資金など)も活用できますが、負債は経営を圧迫するためできる限り控えたほうが得策です。
独立・自営の主たる経営品目
いちご




生産者の声
川方 俊明さん
鹿沼市
いちごの1番のウリは高収益なところです。特に就農1年目から収入が入るのが魅力の一つです。栃木県の主力品目であり、サポートも充実しています。
にら




生産者の声
塚原 健治さん
真岡市
にらの一番のウリは単価が他の品目より比較的安定しているところです。他の品目と組み合わせることも可能です。高齢でも栽培している方も多く、体力的にも長年にわたり栽培することが可能です。
アスパラガス




生産者の声
本澤 盛男さん
那須塩原市
アスパラガスの一番のウリは1度植えると10年以上植え替えずに収穫でき、単価も比較的安定しているところです。収穫期が春と夏の2回あり作業計画が立てやすく、高齢の方にも作業可能な品目です。
トマト




生産者の声
篠原 貴大さん
小山市
トマトの一番のウリは他の品目に比べて栽培管理により味の違いや収量、品質の違いが出やすく、やりがいのあるところです。また加工にも取組みやすく、様々な形に変化してお客様の手に届きます。
なし




生産者の声
阿部 英生さん
宇都宮市
なしの一番のウリは高付加価値をつけやすい品目であるところです。また、永年性作物なので軌道に乗れば長く経営を続けることができます。技術指導や販売網が確立されているので、安心して経営に打ち込めるところも魅力です。
- 家族労働2人+雇用
- 平成29年度経営診断指標を基本に、令和5年度の物価指数を計上し算出
- にら、アスパラガス、トマトのハウス費用は、補助事業活用を前提に試算(にら、アスパラガス:4/10補助、トマト・1/2補助)
- なしは成園の場合を前提に試算
- 経営試算は、規模や作型、雇用、導入条件により変わります。
- 品目ごとの全国順位は令和4年の生産量です。