コラム

とちぎで農業を始めるなら、やっぱり「いちご」がいい⁉ その魅力とは

いちご栽培を始めたい方はもちろん、まだ栽培品目を決めかねている方も必見! 栃木県でいちご栽培を始める魅力についてご紹介します。「いちご王国・栃木」ならではの充実した研修制度や支援体制にも注目です!



栃木県は言わずと知れたいちごの名産地。生産量が50年以上にわたって日本一であることから、県は「いちご王国」を宣言し、さらなる発展を目指しています。生産者については、栃木県で農業を始める「新規自営就農者」のうちおよそ3割がいちごを志向。いちごが一番人気の栽培品目となっています(令和4年度栃木県経営技術課調べ)。

その背景には、栃木県ならではの「いちご栽培を始める魅力」があります。ここではその魅力をご紹介!まだ栽培品目を決めかねている方、とちぎでいちご栽培を始めることを検討してみませんか?

 


【魅力1】収穫量日本一の実績があるから心強い!


栃木県のいちごの収穫量は、なんと昭和43年からずっと日本一! 作付面積、産出額においても20年以上にわたって日本一です。こうした実績から、栃木県においていちごは生産品目としてとても安定しているといえます。

 

■令和4(2022)年産いちごの生産割合

◎収穫量
全 国:160,800t
栃木県:24,400t
✅昭和43(1968)年産から令和4(2022)年産まで55年連続日本一!
 

◎作付面積
全 国:4,840ha
栃木県:505ha

✅平成13(2001)年産から令和4(2022)年産まで22年連続日本一!

 

◎産出額
全 国:1,834億円
栃木県:248億円

✅平成7(1995)年から令和3(2021)年まで27年連続日本一 !

 

日本一であり続けられるのは、いちごに関わる方々の弛まぬ努力はもちろん、県オリジナル品種や夜冷栽培技術、豊かな水資源やいちご栽培に適した気象条件など、多くの恵まれた条件によるものです。これらがまさしく栃木でいちご栽培を始める魅力でもあります。それでは、【魅力2】以降を見ていきましょう!

 


【魅力2】とちぎの気候風土がいちご栽培に適している!


農作物の生産には、その作物に適した自然環境が欠かせません。いちご栽培において大きなポイントとなるのが、日照時間の長さと気温です。秋から苗を植え始めるいちご栽培の場合、生育環境は温かい地域の方が有利とされており、実際に栃木県以外の地域では福岡県や熊本県など温暖な地域での生産が盛んです。

 

では、なぜ温暖ではない北関東地方に位置する栃木県がいちごの収穫量日本一を維持し続けられるのでしょうか。それには主に2つの環境要因があります。

 

◎夏よりも冬の方が日照時間が長い!
ほとんどの地域では、日照時間は夏が長く、冬が短くなります。しかし、栃木県においてはその逆。実は、夏よりも冬の方が日照時間が長いのです。そのため、いちごの光合成量が大きくなり、果実の品質も収穫量も優れた結果をもたらします。また、昼と夜の寒暖の差が大きいこともポイント。これらがおいしいいちごを育てているのです。


参考:気象庁「過去の気象データ検索」より平成3(1991)年〜令和2(2020)年までの月ごとの平年値を表示し、合計日照時間を整理。いちご主産地のほか参考として東京の平年値を掲載。


◎水資源が豊かで暖房費の節約に⁉
栃木県は地下水が豊富です。ミネラル分を多く含んだ地下水が美味しい作物を育みます。また、この地下水を利用したウォーターカーテン技術を導入すれば、燃料が必要な暖房機を使わず、光熱費(燃料費)を抑えることもできるのが強みです。ウォーターカーテンとは、汲み上げた地下水をハウスの外張りと内張りの間に散水して室内を保温する技術です。外気よりも温かい地下水を利用した保温方法のため、燃料費の削減になるだけでなく環境にもやさしいのが特徴です。


ウォーターカーテンハウスの仕組み

【魅力3】育成品種が多彩で様々なニーズに対応できる!

ひと口に「いちご」といっても、その品種はさまざま。令和4(2022)年10月時点で品種登録されているいちごは、なんと全国で319品種! しかし、登録されているすべての品種が栽培されているわけではありません。令和3(2021)年度の調査では全国で74品種が栽培されていました。そのうち栃木県では主に6品種が栽培されており、家庭消費や贈答、業務など多様なニーズに応えています。

では、その6品種の特徴をそれぞれ見ていきましょう!


とちおとめ

   
   
◎とちおとめ(出荷時期:10月~6月)
全国No.1のシェアを誇る栃木県の主力品種(栃木県以外でも栽培)。味が濃く、果汁たっぷりな味わいが特徴。甘みと酸味のバランスがとれた果肉は、太陽の恵みそのものです。


スカイベリー

 
 
◎スカイベリー(出荷時期:11月~6月)
大粒で美しい色と形。そしてジューシーで上質な味わい。自分へのごほうびや、大切な人への贈りものにぴったりな“ハレの日”いちごです。


とちあいか

   
   
◎とちあいか(出荷時期:10月~6月)
2019年秋に初出荷された「いちご王国」のニューフェイス! 酸味が少なく甘みが強いのが特徴。ヘタの部分がくぼんでいるので、果実を縦にカットするとハート形に見えると話題!


とちひめ

 
 
◎とちひめ(出荷時期:12月~5月)
栃木県内の観光いちご園でのみ食べることができる幻のいちご! 皮がやわらかく、大粒で中まで赤く、ジューシーで甘みが強いいちごです。


ミルキーベリー

 
 
◎ミルキーベリー(出荷時期:12月~5月)
ミルクのように白い「いちご王国」初の白いちご。酸味が少なく、独特のまろやかな食感と甘さが特徴です。


なつおとめ

 
 
◎なつおとめ(出荷時期:7月~10月)
その名の通り、夏場に収穫できる品種。いちごらしい甘酸っぱさが魅力で、夏のジェラートなどスイーツにも最適。いちごの出荷が減少する時期に旬を迎えるので、業務用としてのニーズもあります。縦に切ると中心が赤いハート型になるのが特徴です。


   

これらの品種開発を支えてきたのが、全国唯一のいちご研究機関である栃木県農業試験場「 いちご研究所」です。ここでは、次代を担う新品種の育成や新技術の開発に加え、新たに消費動向などの調査・分析などの機能も備えた、いちごの総合的な研究開発を行っています。


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【魅力4】安定した収益が期待できる!


◎大消費地に近いという立地で収益性が高い!

栃木県は、東京をはじめ埼玉・神奈川・千葉など人口が集中する大都市に近いため、輸送費用をあまりかけずに大消費地に出荷することが可能です。その上、輸送時間も短いとあって鮮度の高い状態で市場に届けることができます。輸送コスト削減との相乗効果で高い収益性が期待できます。また、大都市からのアクセスも良好で集客が見込めるため、いちご狩り体験を行う「観光いちご園」の経営で収益を生み出すことも期待できます。

 

◎健全な親苗を確保しやすい環境なので生産が安定!

いちごを安定的に生産するためには、健全な親苗の確保が必須です。栃木県では、いちご生産者が県育成品種を安定して栽培するための苗供給システムが構築されています。いちご研究所で増殖した原々苗を翌年に種苗センターで増殖し、翌々年に15カ所の増殖基地で生産者用の親苗を増殖するという、無病苗供給体制が整備されています。

 

◎夜冷育苗で収穫が平準化でき収入も安定!

本来いちごは初夏に実るものですが、促成栽培の技術向上により、現在は秋から初夏にかけて収穫することができます。それを可能にしているのが「夜冷育苗」という技術。苗を低温の暗い倉庫に入れることで気温と日長を調整し、秋が来たと苗に感じさせて生長を促す方法です。これにより、クリスマスシーズンに合わせて栽培するなど、収穫の時期を調整することが可能となり、作業を平準化するとともに収入を安定させることもできます。

 


【魅力5】研修制度が充実している!


◎日本初! 農業大学校に「いちご学科」が登場!

2021年4月、栃木県農業大学校に日本で初めて「いちご学科」が新設されました。ここでは2年間、いちごの栽培技術や経営ノウハウをいちご王国だからこそ叶う優れた講師陣の下で実践的に学ぶことができます。その上、卒業後は県内で円滑に就農できるように、在学中から就農への道筋をしっかりサポート。非農家出身者であっても就農に必要な農地の確保等の課題をクリアできるように、関係機関や団体などが連携して支援を行います。 


  

  

◎県内全域で地域段階の研修制度が整っている!
同じ栃木県内であっても、地域によって自然環境は異なるもの。農業は自然に大きく左右されるので、研修は就農予定地に近い環境で受けることが望ましいです。栃木県では、いちご栽培の研修制度が各地域の農業団体や自治体等に設置されており、就農予定地域でとちぎ農業マイスターの指導の下、研修を受けることができます。栽培技術を学べるだけでなく、就農まできめ細やかにサポートしてくれるなど、地域によって制度の内容や特色はさまざま。興味のある方は「農家の始め方ガイドブック|研修制度」をチェック!

 

 


いちごの研修制度はワンストップ窓口へ


【魅力6】行政の支援が手厚い!


◎いちご専門の普及指導員がいる!

「普及指導員」とは、農業者に農業技術の指導や経営相談、農業に関する情報提供をするなど、農業者を支援する国家資格をもった都道府県の職員です。栃木県では、いちごに特化した普及指導員が配置されているので、就農後も充実したサポートを受けられます。

 

◎いちご栽培に適した農地をあっせん!

日本一のいちご産地としてさらなる発展を目指し、担い手の確保にも力を入れている栃木県。農地整備事業で宇都宮市海道町に「いちご団地」を創設し、いちごの経営を目指す人に農地を貸し出す取り組みを開始。そのほか、いちご研修制度を設けている県や市町、JAは、研修を受けている就農希望者が農地を円滑に確保できるようにサポートしています。


◎いちごに特化した補助事業が豊富!

いちごは栃木県の主力園芸とあって、さらなる生産拡大を図るために県ではいちご関連の補助事業で積極的に支援しています。例えば「 園芸大国とちぎづくりフル加速推進事業」。この事業には、オリジナル品種の生産拡大に必要ないちご栽培用パイプハウスや附帯設備などの費用を助成するものなどがあります。事業の要件はありますが、資金面でのサポートも充実しているのは心強いです。


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【さいごに】いちご栽培を始めるには?

栃木県でいちご栽培を始める魅力についてお伝えしました。
では、実際にいちご栽培を始めるためには何をしたらよいのでしょうか?

 

まず、農業を始めるには、生産の基礎となる「知識・技術」のほか、「農地」や「資金」などが必要です。それらについての情報収集をするとともに、農業体験などのイベントに参加することをおすすめします。農業体験は、実際の農作業を体験することで、ネットや本ではわからなかった気づきを得られるチャンス。自分が農業に向いているかを見極めることもできます。積極的に参加して農業への理解を深めましょう!

 

そして、いちごで農業をはじめる決意が固められたら栽培技術を身につけるため、研修制度を活用しましょう!次のコラムでは「いちご王国」ならではの充実した研修制度を紹介します。



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