農業体験は、文字情報だけではわかりにくい実際の農作業を身をもって知ることのできる絶好のチャンス。頭に思い描いた農業のイメージと体験して感じたことのギャップや気づきなど、直に触れたからこそ得られるものがあります。そもそも自分は農業に向いているのか、どんな栽培品目で就農するのかを見極めるためにも、積極的に農業体験に参加しましょう。
農業体験には、大きく分けると「余暇に楽しむアクテビティ型」と「職業として体験するインターンシップ型」の2種類があります。それぞれの違いと特徴を知って、就農への一歩を踏み出してみませんか。
【アクティビティ型】気軽に参加できる農業体験
就農に興味をもちはじめたばかりで、これまで農業に縁がなかった人なら、まずは気軽に楽しめるアクティビティ型の農業体験がおすすめ。農産物の収穫や家畜の餌やりといった農作業の一部を体験する短時間のプログラムをはじめ、農山村に宿泊し、農作業のほかにも地域の食事や地元の人との交流も兼ねた体験プログラムもあります。
レジャーとして楽しく農業に触れられる「観光農園」
旬の果物や野菜の収穫など、農作業の一部を気軽に体験できるのが「観光農園」。個人農家が営む小規模な農園から、レストランや加工施設が併設された大規模な施設までいろいろな種類があります。レジャーとして楽しく農に触れられるので、はじめの一歩に最適。子どもと一緒に楽しめるのも魅力です。
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農村地域に滞在して地域交流を楽しむ「グリーン・ツーリズム」
グリーン・ツーリズムとは、農山漁村に滞在し、農漁業体験を楽しみながら地域の人々との交流を図る余暇活動のこと。さまざまな体験や地域の人々とのふれあいを通して、自然、文化、生活などを学ぶとともに、農村地域ならではの魅力を体感することができます。農作業体験だけでなく、農家に宿泊してその暮らしを体験するプログラムもあります。
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【インターンシップ型】就農を見据えた本気の農作業体験
農業体験を通して就農への意識が高まってきたら、「職業」としての農業を体感できるインターンシップ型の体験がおすすめ。半日から1日単位で開催される「農作業体験会」や、一定の期間にわたって就業体験をする「インターンシップ」があります。漠然と農業をやってみたいと考えている方にとっては、就農するということがどのようなことなのかをしっかり把握できるチャンス。頭の中に描いたイメージと現実とのギャップを知る機会でもあり、職業選択のミスマッチを防ぐ目的もあります。
インターンシップには、主に「自営就農向け」と「雇用就農向け」の2つのタイプに分かれます。
就農にも役立つ! 実際の農業現場で行う「農作業体験会」
個人農家や農業法人が営む農地で実際の農作業を体験できるのが「農作業体験会」。レジャーとしてではなく、農業そのものに向き合い、関心を深める機会として開催されていることがポイントです。実際の農作業を体験することで、自分が農業に向いているかを見極められる機会でもあるので、就農への意識が高まってきた人におすすめ。農業従事者と交流ができ、就農へのアドバイスなども受けられます。
農作業体験会の開催情報についてはこちらをチェック!
トチノでは、県内の農作業体験会等のイベント情報を随時掲載しています。
独立を視野に入れるなら「自営就農向けインターン」
将来自分で農業を営むのなら、個人経営の農家で就業体験ができる「自営就農向けインターン」がおすすめ。栽培から収穫までの一連の作業だけでなく、経営のために何が必要なのかなども知ることができ、農業経営の大枠をつかむことができます。現役農家での就業体験とあって、内容は実践的。農業への理解を深めながら自分に向いているかどうか、しっかり見極めましょう。
参加方法
自治体や農業団体等が設けた制度を利用するのが一般的です。
以下は、栃木県内で行われているインターンシップの一例です。
農業インターンシップ制度|(公財)宇都宮市農業公社
http://www2.ucatv.ne.jp/~unk.sea/kensyuuseido.pdf
チャレンジファーマー制度(インターンシップコース)|(公財)那須塩原市農業公社
http://www.nasushioagri.or.jp/silverfarmer.html
就農おためし体験補助金事業|(一社)那須町農業公社
https://www.nasu-noukou.com/farm
農業法人で働くイメージなら「雇用就農向けインターン」
雇用就農向けインターンは、農業法人などの組織で行われる就業体験です。農業に携わりたいと思いつつも栽培したい品目や目指す農業のスタイルが決まっていない方や、自分で農業を営むよりも雇用される方が向いているという方におすすめ。農業法人の就業体験では、仕事内容だけでなく職場の雰囲気をつかむことができ、自分が今後ここで働いていくことを具体的にイメージしやすいのが魅力。受け入れ先との相互理解が深まれば、そのまま就職する道が開けるのもポイントです。
農業法人のインターンシップ情報はこちらをチェック
農業インターンシップ
(運営:公益社団法人 日本農業法人協会)
https://www.be-farmer.jp/experience/intern/application/
「今の仕事(職業)を続けながら研修する」という選択肢も
体験を通して就農への気持ちが高まったからといって、すぐに農業法人や農家で研修、あるいは就職するというのはなかなかハードルが高いもの。農業についてもっと知識を深めてから就農へのステップを踏みたいという方におすすめなのが、自治体や農業団体が開催している「基礎講座」。栽培技術や農業経営などの基礎を座学と実習で学ぶことができます。受講は、週1回や月数回程度のところが多く、仕事を続けながら通うことができるのも魅力です。
栃木県内で行われている基礎講座の一例
とちぎ農業未来塾(基礎研修)|栃木県農業大学校
https://www.pref.tochigi.lg.jp/g63/hp/kensyuka/miraijuku.html
チャレンジファーマー制度(基礎コース・おためしコース)|(公財)那須塩原市農業公社
http://www.nasushioagri.or.jp/silverfarmer.html
ましこ農の学校|益子町
https://www.town.mashiko.lg.jp/page/page003319.html
JA佐野トレーニングファーム|佐野市
https://tochi-no.jp/article/detail/570
さいごに
農業には水稲や園芸、畜産など多種多様な生産品目と経営形態があります。まずは体験の段階でさまざまな農業に触れて、自分にはどんなものが向いているのかを見極めましょう。参加の際には、お客様感覚ではなく、「農業を仕事する」という目線で臨むと、より多くの気づきを得られます。
参加後は、実際に現地に行って、見て、触れて、どんなことを感じたのか、正直な気持ちを整理しましょう。イメージとのギャップがあった場合、それは許容範囲内であるか、また前向きに捉えて行動できるかどうかが就農へのステップのカギとなります。
最後になりましたが、体験するうえで念頭に入れておきたいことがあります。それは、農業体験は受け入れ先の厚意で成り立っているということ。参加の際には、感謝の気持ちを忘れずに敬意をもって取り組みましょう!